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情婦のYYamadaのレビュー・感想・評価

情婦(1957年製作の映画)
4.3
【法廷映画のススメ】
『情婦』(1957年)
〈フィクション (1952年 / ロンドン)

◆法廷の争点
未亡人殺しの容疑者男性に対する
アリバイについて

〈見処〉
①「この映画をご覧になっていない方々のためにも、結末は決してお話にならないように」(エンドロール)
・『情婦』(原題:「Witness for the Prosecution」=「検察側の証人」とは、1957年に製作された法廷ミステリー。
・本作の舞台は、1952年のイギリス、ロンドン。生死を彷徨う重大病から退院を果たしたばかりの法曹界の重鎮の老弁護士ウィルフリッド卿のもとに、裕福な未亡人の刺殺事件の容疑の疑いがかけられたレナード(タイロン・パワー)はから弁護の依頼を受ける。
・開廷された裁判では、検事と弁護人との攻防は一進一退。評決を翌日に控えた日、容疑者の妻が検察側の証人として出廷。唯一の容疑者のアリバイを証言出来る妻から、思いもよらないことを口にされる…。
・本作は、アガサ・クリスティの短編の原題同名小説を原作とし『麗しのサブリナ』の名匠ビリー・ワイルダーが脚本・監督を担当。
・実質的な主人公である老弁護士にチャールズ・ロートンが扮し、その付き添い看護婦役には実生活のパートナーであるエルザ・ランチェスターが演じ、本作にて夫婦共々アカデミー主演男優・助演女優賞にノミネートされている。
・また、容疑者レナードを演じたタイロン・パワーは、本作が遺作となった。

②結び…本作の見処は?
「モノクロ映画」「どんでん返し映画」がキライな方以外の必見作としてオススメします。

◎: 「どんでん返し映画」の鑑賞時には、その結末に構えがち(否定的)になることが多いが、アガサ・クリスティ原作の本作では、ラスト10分まで結末を予見出来ず、その結末もアッパレの内容。非常に満足感を得られる作品
○: 法廷映画では、判事、弁護士、検事はそれぞれに対立構図が描かれていることが多いが、本作では互いをリスペクトする関係性が心地好い。
○: 老弁護士ウィルフリッド卿のキャラクターが大変魅力的。彼が手掛ける他の裁判も傍聴してみたい。
○: 容疑者夫人を演じるマレーネ・ディートリヒのカメレオンのような名演技が作品質を高めている。
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