ペジオ

CODE46のペジオのレビュー・感想・評価

CODE46(2003年製作の映画)
4.3
そのメカニズムが解明されていないものを便宜上「愛」とします

劇中描かれるSF的要素(遺伝子による管理、クローン、共鳴ウイルス、記憶消去、壁をはさんだ格差etc)が二人の間の愛の「障害」として立ちはだかる
特に遺伝子、ウイルス、記憶なんかは個人の意思の方向性を形作るものとして描かれているわけで、それらが全力で「惹かれ合うな」と命令しているにも関わらず、「惹かれ合ってしまう」二人の姿を通して、一番古典的で純粋な愛を語っているわけか
この世界を形作る全ての要素がこの愛を歓迎していない(そもそもが不倫だしね。)
…切ねえわ、2回目のSEXシーンなんて切なさ(「刹那さ」でもある)の集合体だわ

SFらしい分かりやすいビジュアルやガジェットは無く(おそらくはこれはコンセプトでもあるでしょうが。影響を受けたであろう「アルファヴィル」は未見。)、概念のみがこの世界を未来に設定しているのだが、そこを受け入れられるかが評価の分かれ目でしょうか
SNSの無かった時代と普及した今では景色こそ大した違いは無いが、そこに生きる人々の意思は良くも悪くもその影響下にあるわけで…っていう風に考えるとこんな未来風景も有り得る範囲なんじゃないか?
概念に踊らされる二人は僕たちと大して変わらない

いつか愛の仕組みが科学的に解明されてしまえば、こんな映画は前時代的で陳腐なものとして淘汰されてしまうのだろうか
いつか必ず来るだろうその時までは、大切にしていたいものです

古典中の古典「オイディプス王」の裏返しな物語としても観れた
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