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トゥモロー・ウォーのトルーパーcomのレビュー・感想・評価

トゥモロー・ウォー(2021年製作の映画)
3.0

#トゥモローウォー
7月にアマプラで世界一斉公開されたクリスプラット主演のSF映画。
ツッコミどころはけっこう多いが、エイリアンの造形とアクションは割と良くて楽しめた。


■ストーリー
謎のエイリアンに襲撃され絶滅寸前の30年後の未来。
未来の地球人たちは、現代の地球へ救援を求めてタイムスリップしてきた。

未来の人類存続のため、現代人は徴兵されて30年後の地球へ出兵していく...的な話。


■AmazonPrime独占配信
本作は、もともと劇場公開映画として製作された作品だが、コロナ禍で予定通りに公開できず、
配給予定だったパラマウント映画からAmazonに権利が譲渡され、2021/7月にAmazonPrimeにて独占公開されることとなった。

劇場公開予定だった大作がアマプラ配信に切り替わった例として他に、カミラカベロ主演の『シンデレラ』/『星の王子NYへ行く2』の2作品がある。

今年はディズニープラスによるピクサー映画の配信限定公開がたびたび話題となったけれど、ディズニー以外でも、これらの大作がAmazonで配信されたという事例は、映画界において2021年の重大トピックの1つと言える出来事だった気がする。



<以下、ネタバレあり感想>



■エイリアン造形
本作で人類の敵となる謎のエイリアン「ホワイトスパイク」
彼らの造形はなかなかよく出来ていたと思う。

『キングコング/髑髏島の巨神』に出てくるスカルクローラーとか、エヴァンゲリオンシリーズの使徒みたいなデザイン。

動きも機敏でスピード感がある上、群れで狩りをする肉食動物のように、集団で獲物を追い込む知能も兼ね備えていて、未来の人類が太刀打ちできないという設定にもそれなりに説得力があって見応えがある。

攻撃態様としては、俊敏さからの咬みつき以外に、尻尾から発射するファンネルみたいな骨?の飛び道具が秀逸。
一応、喉と腹に弱点があるというのもわかりやすくて良い。

最終盤の展開をみるに、明らかに『エイリアン』(1979)に影響されていると思われる出自設定も良かった。


■タイムスリップルールについて
30年も未来の話なら、少し早めの時代に飛べば時間かけてじっくり準備と対策を練れるのではと思うのだけれど、物語の都合上、自在に狙った年度に飛ぶことはできず、ぴったり30年の幅でしか飛べないという謎設定。
これはちょっと苦しいのでは、と思ってしまった。

このトンデモ設定のせいで、主人公たち一行がろくに訓練もせず、素人に銃持たせただけみたいな状態でバケモノと対決させるのは無茶すぎる。

訓練された特殊部隊たちが戦うよりも、素人のオッサンおばさんが立ち向かうほうが絶望感あるっちゃあるけども、人の命軽すぎでは...と思ってしまった。
まあここは笑わせにきてるんかなと解釈したけれども。

まずスタートから到着地点をミスって上空50メートルくらいに到着するのに失笑。
いや、プールに落ちたら助かるとかそういうことじゃないだろっていう笑
あの高さから落ちたら水面に激突しても普通死ぬよね。

のっけから絶望すぎる状況に叩きこまれて、救援の装甲車到着見て歓喜→絶望、の流れは爆笑した。


1週間(168時間)経過したら自動的に強制帰還するっていう仕組みは良かったと思う。
瀕死になってたり動けなくても戻れるっていうことで機能としての合理性があるし、何よりも物語を劇的にする効果があって良かった。

未来人が最初、ワールドカップの試合中に登場するっていうのも良かったと思う。
世界中の人にメッセージを一斉発信するのにはベストな場所で、未来人頭いいなって思った。


■徴兵について
強制的な徴兵とか、ほぼ人権無視の派兵態様によるPTSDとか、けっこう重いテーマにしようと思えばできる話がたくさんあったけれど、そこはメインにされておらず薄っぺらかった印象。
劇中でも反戦デモが起こっていたけども、そりゃそうだろとしか言いようがない。

結局、人権/倫理的な部分はうやむやなまま話が進んでしまっていて、真面目に語るつもりがないなら中途半端に言及しなくても良かったような気がした。


■キャラクター

◆ダン・フォレスター(クリス・プラット)
主人公。本作は「子供を守る父親」をテーマに2つの父子の話が展開されるけれど、
劇中時系列でのダンは、絶対に子供を助ける人/逃げない人として描写されていた。
好感度は高いけど、さほど面白味のあるキャラクターではなかったかも。

◆ミューリ・フォレスター(イヴォンヌ・ストラホフスキー)
30年後の地球で生きるダンの娘。本作でいちばん興味をひかれるキャラクターだった。
いちいち秘密を話すのに先送りしすぎなのがちょっと気になったけれど、自己犠牲の意図を父親にギリギリまで伏せる意図だということで一応そこは納得した。

彼女の最期のシーン、地獄の悪魔たちを描いた絵画みたいでなかなか良かった。
ここがクライマックスなので、その後もけっこう映画が長く続くのは蛇足に感じた。

◆ジェームズ・フォレスター(JK・シモンズ)
ダンの父親。演者がJKシモンズの時点でもう強そうで期待感しかない。
案の定、最終盤の雪山でのミッションで大活躍だったけども、クリプラ&JKシモンズの絵が強すぎて安心して見れてしまい危機感が薄かったかも。なんか最後2人とも素手でホワイトスパイクとけっこう戦えてるし。

◆ドリアン(エドウィン・ホッジ)
任務3回目の訓練された黒人兵士。割と面白いキャラだったのでもっと活躍を見たかった。
マイアミが炎上してて「ウィルスミスが泣くぜ」には笑う。
黒人は『バッドボーイズ』(1995)大好きなのだ。

◆その他
偵察の2人組:あっというまに退場したけど自己犠牲ムーブ熱くてけっこう好きだった。おばさんの方が特に好き。

チャーリー/マーティン:ダメそうな黒人が実は有能だった枠。どっちか1人で良かったような気がする。


【スコア】
★3.0で。
タイムスリップルールがご都合主義すぎて、真面目に見るべきなのかギャグとして見るべきなのか...て思っちゃいました。
脚本は割とトンデモで、ツッコんだら負けのような気がした。

とはいえ、エイリアン造形が良いし、戦闘シーンのCGや迫力もすごいので、B級映画ってほどではなくまあ楽しくは見れた印象。

ただ、「もうこれ『エイリアン』じゃん!」な最終盤は蛇足感ありありで、なくても良かったような気がする。娘の話で終わりで良かったような。
でもココは、「終わったー!と思ったらもうひと波乱!」のエイリアンオマージュなのかな??
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