ヴレア

モルエラニの霧の中のヴレアのレビュー・感想・評価

モルエラニの霧の中(2019年製作の映画)
3.3
よく行く映画館が諸事情により一時休業になり、なんとかまた復活してくれたので早速行って来た。
とは言えメジャーな作品は上映出来ず、マイナーな作品4つ程という寂しい状況だが、これから作品は増えて行くらしいので応援したい。

本日見てきたのはこちら。
国内ではあまり上映されず、ソフト化もされていないことから幻の映画作家とも称される坪川拓史の作品で、完成に5年もかけたという大作だ。舞台は室蘭市で、実話を元にしながら7話の連作形式で紡がれて行く壮大な一大叙事詩となっている。

土曜日の夕方、劇場に客の姿は無く静まり返ったロビー。3時間半もあるマイナーな本作を見よう等と言う人は居るはずもなく、貸し切りでの鑑賞と相なった。
この長さで芸術的な作品となれば絶対途中で眠くなるだろうなと思ったけど、意外に全く飽きる事無く凄い集中力で最後まで鑑賞出来た。

とにかく章ごとに区切られていてそれぞれ主人公も違うのだが、何処かで人物同士が繋がっており、同じ街を舞台にしている事から、全体を通して物語像が見えて来るという内容だった。
しかし、章ごとに全く違った印象を受ける事も確かである。映像がモノクロになったり、時にノスタルジックな青春ものになったり、時にタルコフスキーを思わせるような叙情溢れる情景が展開されたり、と演出的には結構こだわりを感じて良かったなと。
ただ、ストーリー的にはあまりにも文学的と言いますか、もうちょっと起伏に富んでいれば尚良かったかなぁと…。
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