さひさひ

イン・セイフ・ハンズのさひさひのレビュー・感想・評価

イン・セイフ・ハンズ(2018年製作の映画)
4.6
〈Kino Festival 2023〉(キノフェス)上映作品。

フランス西部の街ブレストの病院で匿名出産により生まれた赤ん坊テオ――彼を育てることになる家にたどり着くまでを描く。原題の Pupille は後見人のいる孤児の意で、瞳も同じ綴り。

赤ん坊にも大人に対するように真面目に話しかけるのがフランス人らしいなと思ったが、そのせいで途中スピリチュアルかと思うような方向に話が行きかけて少し心配になった。その点以外はとても良い映画だった。

主演クラスの俳優が揃った豪華キャストも個人的に嬉しい。

アリスの父親役では2021年に亡くなったジャン=フランソワ・ステヴナンもチラッと出てくる。今年日本公開だった『幻滅』 Illusions Perdues (2021年) では俳優生命を握るシンガリ役もあって、晩年は子供たちより目立つ活躍だったのかな?

監督はミュウ=ミュウの娘だそうで、ミュウ=ミュウもチラッと出て来る。

フランスの里子制度をあつかった映画には昨年日本公開された『1640日の家族』 La Vraie famille (2021年) もとても良かった。こちらの監督は子供の頃に家に里子を迎えていた経験があったりなど、映画館で購入したパンフにはフランスでは里子制度が広く普及していることが書かれていた。

『イン・セイフ・ハンズ』は2018年の映画なのに日本で上映劇場が見つからずキノフェスに回されたんだろうけど、自前の映画館 kino cinéma を造ったんだから、そこで普通に劇場公開すればいいのに。良い映画だっただけに勿体ない。
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