Cisaraghi

ポテトの言い分、ポタトの主張のCisaraghiのレビュー・感想・評価

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大家族も部族社会も登場しない、個人主義的中産階級を描いたシティーポップなガーナ+ナイジェリア映画。かなりリッチそうではある。音楽もメロウなシティーポップ風。監督のシャーリー・フリンポン=マンソさんはガーナ人の監督だから、舞台はガーナ?ヒロインの女優さんはガーナ人で、セリフは全編英語。富裕層を描いたノリウッド映画が民族衣装+オートクチュールの合体だとしたら、こちらのファッションは人気プレタポルテブランド、というのは例えだが、実際この映画のファッションはそれに近い感じ。

ルル役のガーナ人の女優さんは、肌の色も薄めで欧風な顔立ちかつ爆メリハリボディー。アルトの声が知的でクール。離婚協議でも夫に譲らず、最初から最後までそのプライドを崩すことなく維持していて強い。このような女性の強さを描くことこそシャーリー・フリンポン=マンソ監督の意図していることらしい。

体つきも華奢で、どこかアジア人ぽくて親近感のあるナイジェリア人俳優OCウケジェさん出演の映画を観るのは3本目。ウケジェさんはミュージシャンでもあるので、最後の歌はご本人の歌。いい声です。友達のフレッド役の人も『フォーリング』で見たナイジェリアのウィル・スミスみたいなBlossom Chukwujekwuさん(読めない…)。ゴツい体にチェック柄のチュニックがカッコかわいい。

ネトフリでコメディと紹介されていた割には笑えず、テンポもよくなくて途中かなりダレた。そして、ノリウッド映画で何度か見た細部の詰めの甘さ。また、これも私の観たノリウッド映画にありがちだったが、主人公たちの職業属性がわからない。二人とも何の仕事をしているのか不明だった。音声にも明らかにわかる技術的な問題点があった。
 
でも、映画に描かれる弱くて消極的なアフリカ女性のイメージを変えて、若い女性たちのロールモデルとなり得る、監督の身近にいたような強い女性像を描こうとしているシャーリー・フリンポン=マンソ監督の作品、ネトフリがさらに配信してくれることを期待している。

初等教育は民族の言葉で行うナイジェリアと違って、ガーナでは小学校から英語らしい。英国植民地としての歴史の違いからか、ガーナの人の方が訛りの少ない英語を話すようだ。ラッセル・クロウVSジャスティン・ビーバーのpotato potahto対決は笑った。potato potahto とは、大した違いはない、といった意味らしい。
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