Snow

インディペンデントリビングのSnowのレビュー・感想・評価

4.2
障がい当事者たちの自立を支援する自立生活センターを舞台にしたドキュメンタリー

周縁に生きるいわゆるマイノリティーや社会的弱者にまつわる問題意識を
解決す「べき」社会「課題」として扱っていたせいで
当事者たちに過剰な感情移入をしてしまったり
無関心な人々とりわけ社会ルールの主導権を持ってる既得権益層に憤りを抱えてしまったり

アカデミックの世界を離れて人材開発の仕事と向き合う時も
今度は個と組織の対立構造のフィルターから物事を捉えてしまったり

不本意ながら結果的に二分構造を強化してしまう残念な関わり方しかできない自分に
がっかり/無力感/絶望感を散々味わってくる中で
やっと分離意識から統合意識へシフトしてきて
だいぶフラットな眼差しでその問題意識と向き合うことができたので
このタイミングでこの映画に出会えたのは本当に嬉しい

自分のレビューが気を抜けると批評になっちゃうのが嫌で
感じたことを言葉にすることにはどっかで抵抗感を抱くけど
ほんの少しだけ自分用のメモとして残しておく

・自律性(映画では自立)
人は自分が自分の願いを一番分かってるし、その願いを実現していく力を持っている
その自律性を信頼して、ただそばに一緒にいて、ヘルプを求められたら手助けをする
それが支援者(映画ではヘルパーたち)の一番健全な眼差しと在り方である

・自己表現
私たちは存在している/地域社会にこうやって共に生きてることを
みんなナチュラルに表現していて、その表現は命の美しさそのものだった

・当事者
分かってる「つもり」が一番危険
100%当事者にはなれない、だから本当は分からない
だから、想像する、瞳の奥を見通す、理解を試みる

・健常者
障がい者の皆さんは障がいを自覚してるからこそ日常を噛み締めていて
年数はかかるけど自立生活を目指す過程でだんだん自分の人生の当事者して意志決定していく
そして何よりも自立センターのコミュニティは本当につながり深く愛情深い
何となく麻痺して孤立して生きる人々よりよっぽど健常者だった

P.s.
オンライン上映会の主催者/プロデューサー/監督/出演者/参加者が感想を共有し合う対話会は
これまで参加してきたどのリアルの場でのトークライブ付き上映会よりも
遥かに豊かな時間と体験になりました

映画は私にとっては物理的に接点のない人々や世界を理解する一番大切な媒体の1つだったので
自分の問題意識を自分なりの形で表現するツールとしてチャレンジしてみたいきっかけに感謝です

211024 インディペンデントリビング @ オンライン上映会 33本
Snow

Snow