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ステップのkuuのレビュー・感想・評価

ステップ(2020年製作の映画)
3.7
『ステップ』
製作年2020年。上映時間118分。

妻に先立たれて男手ひとつで娘を育てるシングルファーザーと、母親を亡くし父と2人で人生を歩む娘の10年間の足跡を描いたってほんま重松清は泣かせる物語書くと天下一品やなぁ。
その重松清の同名小説を、山田孝之主演で映画化。

結婚3年目、30歳という若さで妻の朋子に先立たれた健一。妻の父母から1人娘の美紀を引き取ろうかと声をかけてもらったが、健一は妻と時間をともにした妻の気配が漂うこの家で、娘と天国にいる妻との新しい生活を始めることを決める。娘の美紀の保育園から小学校卒業までの10年間、さまざまな壁にぶつかりながらも、亡き妻を思いながら、健一はゆっくりと歩みを進めていく。

この作品の主人公武田健一は、嫁さん亡くした後に、親戚からの善意の手を優しく断り、幼娘を自力(とは云え回りには助けられてる)で育てる決意する。
どれくらい続けたら良いのかわからない気の遠くなる時間。
己の決意がいかに無謀な判断かを後に痛いほどわかるわけやけど、でも、ほんま重松節が炸裂してる。
回りはほんまは優しい。
娘の幼少期の保母さん(伊藤沙莉最近エエ役こなしてるなぁ)
実際、袖振り合うも多生の縁でも身内いがいの人が逆境に身を置く他人の為に泪を流してくれる人ってどないな数いるやろか。
また、諸事情をわかってくれて時間をつくってくれる人は少ないと思う。
娘の『美紀』
だけじゃなく
『健一』もほんと成長する姿を泪なくして観れん作品でした。
なんにしても山田孝之はうまい!
少し前までなら『ウシジマくん』がちらちらしてたけど、最近は『全裸監督2』の衝撃波で村西監督がちらつく。
しかし、近年のエキセントリックな役どころから~の、
家族の幸せや苦しみを描く魔術師重松清世界観が溢れた作品に父親役の山田孝之が予想外にバッチリハマってた。
独り身やし云えた義理はないけど、正直、現実には父子家庭に対してこないにも都合よく、回りが理解して評価をしてくれる上司やら保育士、そして、義理の両親と義理の兄が揃ってることはないやろけど、あくまでも作られた物語やし、全くもってアリやと思う。
虚構をときには現実のように思い、共感して泪を流すのもの悪くないかなぁと思いました。
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