インディペンデント映画の巨匠、ジム・ジャームッシュの映画。
ビル・マーレイ演じる老いたドン・ファンの元に届いた差出人不明のピンクの手紙。”アナタには子供がいるの。19歳になる子が…” 衝撃的な内容の手紙を読んで過去の女に思いをめぐらせるドン・ファン。そしてお節介な隣人の提案で、かつての恋の花(女)たちに会いに行く旅に出るのだが……。淡々と静かな時間が流れるロードムービー。
結局、過去の花たちに会ってみたところで、何もいいことはなく、手紙の真相もわからずじまい。ドン・ファンは過去の花たちに淡い期待を抱いていたのかもしれないが、甘かったはずの花の蜜はビターだったのである。
男性は過去の女性にいつまでも夢を抱いていると聞きます。元カノから連絡が来たりすると、都合よく「まだ俺に気があるのかな?」と思ってしまったり。それとは逆で、女はシビア。切り捨てた男のことなんて、下手したら記憶にすら残さない。こういった男女の違いを、この映画は小気味よく描いているのかな?
老いたドン・ファンは切ない。しかし、愛おしく、可愛らしい。雨に打たれてしょぼくれるビル・マーレイは、抱き締めてあげたくなる存在でした。