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バビロンのiiのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
5.0
映画好きの映画好きによる映画好きのための映画。ワンスアポンアタイムインハリウッドと擦れるシーン多々あり、でもブラッドピットが落ちぶれ俳優(ワンスではディカプリオが)、自分の映画を観るマーゴットロビーなど。オマージュにしては公開年が僅差なのでないとは思うがここまでのリンクはさすが映画の力といえよう。
また、『ララランド』からも散見するオマージュの数々は本作でも味を出しており、『ニューシネマパラダイス』、『雨に唄えば』、『俺たちに明日はない』などを感じたが、個人的にはずっと繰り返される単調なジャズが物語と一人の女を軸に回転して膨張していく様は『アンダーグラウンド』を想起させた。
3時間に及ぶ膨大なカオス、矛盾、苦しみ、妬み、愛情、青春、ビジネス、ドラッグ、ダンスダンスダンス、酔っ払って狂って一夜でもスターダムにのし上がれば、それも一興、酔狂の果ての没落、需要と供給、ハリウッドの闇と光と金と女と政治と科学による変わりゆく時代の変遷、全てがフィルムに焼き付いている。
明日死んでもそれもフィルムの一部じゃないってな、ゴールデンエイジのいけいけハリウッド界隈のカオスとエログロナンセンス、なんでもありの乱痴気騒ぎパーティーも羨ましい。一度くらい人間狂ってもいいもんだと思うけどな。綺麗すぎても何も学ばないんじゃないか。死んだら死んだでそれでしまいだよ人生。

やりすぎなほどのラストもお見事、ハンカチ必須だ映画好きよ、素晴らしいぞデイミアンチャゼル、8時間でも観れたぞ、興行なんて関係ねぇ、撮りてぇもん撮るんだって感じが最高でしたね、世に迎合することなかれ、金はないと生きられないが、この世の全ては金じゃない、映画あっぱれ、

唯一のマイナス点があるとすればこの映画を映画館で観れなかったことだ。何してるんだ私は。6畳の薄暗い部屋でiPhone12傾けて観る映画じゃないぞなめるなよお前!!
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