もこもも

エルヴィスのもこもものレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
4.1
今もなお影響を与え続ける世界史上最も売れたソロアーティスト、エルヴィス・プレスリーを史実に基づいて描いた作品

前代未聞にして空前絶後
世界中を熱狂の渦に巻き込み
音楽だけでなく世界を変えた伝説の男
この男が生み出す"熱狂"に全身が震えた

あっという間に終わってしまった...
ライブシーンがとにかく素晴らしくて、
エルヴィスの色気とかっこよさに魅了される
特に『Trouble』のシーンは頭に焼き付いてる
エルヴィスの曲を意識して聞いた記憶はあんまり無かったけど知っていた曲が結構あって改めて彼の偉大さを実感させられた

俳優陣も素晴らしくて、トム・ハンクスは思わず嫌いになってしまうほどパーカー大佐としてしか観れなくなってたし、エルヴィスを演じたオースティン・バトラーの演技力の高さにも驚かされた

「彼は禁断の果実だ」

困惑や笑いが次第に絶叫へと変わっていくエルヴィスが最初に歌うシーンがとにかく強烈で、そのあまりのセクシーさとカリスマ性に大興奮
エルヴィスのパフォーマンスだけじゃなくて、曲自体の素晴らしさもこの作品を通して感じれた

「"オレはずっと悪い評判を受けてきたけど、
 それは覚悟しなきゃいけないことさ"」

徹底的に黒人らしさを売りにしたエルヴィスのスタイルはロックの世界だけでなく、社会全体をも大きく揺るがす革命的な出来事となる...

結果として母親の死に繋がったけど、
自分の音楽を曲げない姿には胸が震えた
白人らしからぬパフォーマンスで人々の熱狂と反感を生んだエルヴィスやけど、生まれてくる時代を間違えた男やとは思えなかった
この激動の時代に現れたからこそ、
伝説のミュージシャンになったのかなって

黒人と一緒に暮らして成長したことも
それが影響して彼のスタイルを作ったことも、
反感によって服役させられたことも
10年に渡り俳優中心で活躍していたことも
国内ばかりで海外ツアーを行えなかったことも
ラスベガスのショーを中心に活動していたことも
エルヴィスの裏にパーカー大佐がいたことも
わずか42年で生涯を終えたことも
知らなかったことだらけで興味深かったし、
自分の無知を思い知らされた

パーカー大佐が彼を本当に死に追いやったのは"愛"って言っていたセリフが胸に残ってる
確かに世界で最も愛された男と言っても過言ではないことはこの作品を通して感じさせられて、実際のことは彼にしか分からないことやろうけどその熱烈で狂気的とも言える愛は良くも悪くも大きな影響を与えたんじゃないかな

観覧車で「偉大になりたい」って言っていた若き日のエルヴィスはこの生涯を望んでいたのかな...
プリシラにこれから自分は忘れられていってなにも残らなくなるって言った姿と、本人の「そういう意味では俺の夢は100回以上叶ったことになる」みたいなセリフが印象的

1977年に死亡したにも関わらず
彼の名前を知らない人間は少ないだろう
これがどれほど素晴らしいアーティストであったかを象徴していると思ってて、"キング・オブ・ロックンロール"と称される偉大なアーティストの人生と音楽を知るために費やす3時間は決して人生の無駄にならないと思う
帰り道で聞いた『Can't Help Falling in Love』がとっても胸に沁みた

“Make this fire in my soul dear, forever burn...”
もこもも

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