Monsieurおむすび

オレグのMonsieurおむすびのレビュー・感想・評価

オレグ(2019年製作の映画)
3.9
ラトビアからベルギーへの出稼ぎ労働者オレグの些細な綻びから始まる不条理劇。

食肉加工場で真面目に働くも同僚に嵌められて解雇、手を差し伸べてきた男は不法移民を支配するポーリッシュマフィアで奴隷のような生活へ。

スタンダードサイズの画角と手持ちカメラの切迫と臨場はダルデンヌ作品のようで、そこに宗教的な観念を孕んだ情景のインサートが、自らをファン・エイク兄弟作品「ヘントの祭壇画」の子羊に例えるほど被害者意識の高いオレグの従順さと弱さを際立たせる。

踏み外して溺れる弱者の群体にも、救われる者とそうでない者がいるという、どこまでも贄を必要とする世界の残酷さを覗いた。
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