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セバーグ/セバーグ 素顔の彼女のMaoryu002のレビュー・感想・評価

3.2
1968年、女優ジーン・セバーグ(クリステン・スチュワート)は公民権運動への資金援助をおこない、黒人ハキーム(アンソニー・マッキー)との不倫にも発展する。一方で、彼女を危険分子とみなしたFBIによる監視が始まり、プライベートな情報の流出によってジーンは精神を病んでいく。

この時代の政府機関の横暴で容赦ない攻撃が恐ろしい。そこには言論の自由もプライバシーも微塵もない。
まあ、ジーンも資金援助だけで、ハキームと男女関係に走らなければ、ここまで泥沼にならなかったかもしれないけど。

こういう伝記映画は好きだけど、ジーンの生立ちや人権運動へのモチベーションはどこから来ているのか、そんな背景がもっと欲しかった。
成功してはいたけど、自分の女優としての価値に不安を感じていたんだろうか。

ジーンの精神の崩壊と、彼女に惹かれ、罪悪感を背負う捜査官の物語も並行して進むけど、いずれにしても内容が薄くて娯楽性も乏しかった。
オットー・プレミンジャーやシャーリー・マクレーンといった、当時の映画界の内幕的な描写は楽しいけど。

ジーン・セバーグは「悲しみよこんにちは」「勝手にしやがれ」の2本で十分に女優としての魅力を見せたけど、こうして不遇を振り返ると、もっと活躍できたかもなと残念だ。

ちなみにクリステン・スチュワートは熱演だったけど、実際のセバーグよりも雰囲気が鋭すぎるように感じた。
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