ベビーパウダー山崎

熱帯雨のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

熱帯雨(2019年製作の映画)
2.5
物語は真っ直ぐで目新しい展開はないが丁寧な演出で作品の質と精度を高めていき、抑圧された社会がぼんやりと見えてくるのがアンソニー・チェン。前作『イロイロ』はその筋の通しかたを極めていて好きな映画だったが、今作はいまいち。不器用な人間の再生に光をあてる流れが白々しく、身体が不自由な老人も不妊治療も中年女性を苦悩させるための障害(を超えた先の自立)として安易に利用しているとしか思えなかった。飛び道具なしに、ここまで正面切って表現しているのに誠実さを欠いたらいかん。女性教員と男子学生のセックス込みの関係、かなりギリギリで性別が逆ならもっと難しい映画(厳しい評価)になっていたような気がする。