翔海

ようこそ映画音響の世界への翔海のレビュー・感想・評価

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)
3.8
映画音響こそが映画に必要不可欠なスパイス。

映画に没入して観ることが出来ているのは映像と音響が生み出す調和なくして、観ることなど不可能と思う。それは現代において音響が無い映画がほとんど無いからである。映画音響の世界を紐解いてゆくと、歴史や時代背景によって変化していった映画音響の世界を知ることができるだろう。映画音響は如何にしてここまで必要不可欠なものになっていったのだろうか。

五感を使って人々は物事を理解している。
それは映画で言えば、視覚だけに頼っているのではなく聴覚を使い、物語を理解しようとしていると言うこと。すなわち、映画とは映像であり、音響でもあると言えるだろう。映像を想像だけで理解するのは難しいが、音響が加わることで映画の世界に没入することは可能になると思う。けれど、ただその場面をマイクに録音してカメラで撮影することだけでは映画として成り立たないということが、映画の難しいところでもある。周囲の音一つとっても環境音、人々の話し声、車や歩く人の足音と音響は多岐にわたって表現の幅を変える。それらを表現する音響スタッフ苦労もよく伝わる。それに映画では本来は存在しない生物やキャラクターの声まで構築するのだから人間技ではないと思わせるほど。音響を作り上げてきた人達の結晶は映画を1段階上のステージへと昇華させるのだろう。

素晴らしき映画音楽たち と同じく映画音響にフォーカスを当てた作品となっている。
それぞれ音響に焦点を当てているが、語られている内容はそれぞれ違いがあるし、映画に必要不可欠な音響の素晴らしさを両作品は伝わえている内容となっている。音響一つとっても映画の印象というものはガラリと変えることはできる。だからこそ、映画監督たちは音響にこだわる人たちも増えていったのであろう。作中では、クリストファー・ノーランやスティーブン・スピルバーグ、デビッド・リンチなど著名な監督のインタビューを観ることもできた。最近に観た 映画大好きポンポさんも映画に対する愛を語っている作品となっており、この2作目を観ただけでも映画制作の裏側を知ることができるようになっている。これから映画を観る時は音響や制作のことを考えてみることができるだろうからまた映画を違う方法で楽しむことができることが嬉しい。
翔海

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