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訴訟のkuuのレビュー・感想・評価

訴訟(1991年製作の映画)
3.5
『訴訟』
原題Class Action.
製作年1991年。上映時間109分。

自動車事故の訴訟をめぐって、敵味方にわかれた父娘弁護士の争いを描く米国産ドラマ。
サンフランシスコの敏腕弁護士ジェドには、同じ道を進み今では男勝りの優秀な弁護士となった娘マギーがいた。マギーは、昔父が浮気をしたことを未だに許さず、二人の仲は冷え切ったままだった。
そんなある日、ジェドは自動車事故で家族を失った男性が大企業アルゴ・モータースを訴えた訴訟で原告の弁護を引き受けた。
一方、娘マギーは被告側の弁護人として法廷に立つのだが。。。

余談から始めますが、
今作品のストーリーは、フォード・ピントの訴訟事件に基づいてるそうです。
この訴訟は、
『重大な傷害につながる可能性のある設計上の欠陥を知りながら[フォード・モーター・カンパニー]が製造したフォード・ピントという車の安全性についてのカリフォルニア州での訴訟』です。 
ウィキペディアじゃ、集団訴訟を『...当事者の一人が、そのグループのメンバーによって集団的に代表される人々のグループである訴訟の一種である』と定義してます。
最近やと、ホリエモンがコロナ禍で政府相手に集団訴訟起こそうかなんて戯れ言いっとるの目と耳にしますが、
集団訴訟は米国で生まれたものであり、今でも主に米国で行われてるけど、民法を有する欧州のいくつかの国では、近年、消費者団体が消費者に代わって請求を行うことができるように変更されたとしてます。

米国てのはホンマ訴訟大国。
経済面でのロスとか、さまざまな問題が指摘されてるけど、そんだけ裁判てのが身近な存在になってんのも確かかな。
酔っぱらって犯罪を犯しちまった野郎が、これは俺の市民権に対する侵害やって、自分自身を訴えるアホ。
バドワイザー飲んだんやけど、南国みたいにならんし、綺麗なネエチャンも現れないやん😠
虚偽広告やとバドワイザーを訴えるポンコツ野郎、等。
まぁそれはさておき、米国の裁判じゃ特に陪審制度の存在は大きい。
弁護士は裁判官や検事、相手方の弁護士と争うが、それ以上に陪審員に向かって話す。
陪審員は普通の市民で、また、市民が理解できる論理で主張する必要がある。 
法廷を掌握し支配するんは、極々市民的な理念。 
弁護士や検事もちゃう世界、隔絶した世界の住人じゃない。
そんなとこから法廷ドラマを素材にした多数の名作が生み出されてはきてる。
挙げると枚挙に暇がないし割愛します。
米国じゃ法廷を舞台にした映画やTVドラマは今日も人気があっし、傑作も少なくない。 
今作品も個人的にですが、ともに弁護士を職業にした父と娘の葛藤を描いた秀作やと思います。
米国の裁判を通して、家族や親子のあり方を語っていると思います。
対立する父ちゃん(タッカー)と娘さん(マギー)の間に立って双方を論し、和解させようとする母ちゃん(エステル)の存在も大きい。
そのエステルとの出会いをタッカーが会葬者の前で披露する場面は印象的でした。
かつてタッカーがテレビで反共活動に狂奔するマッカーシー公聴会(米軍と米上院議員ジョセフ・マッカーシーの間の相反する非難を調査するために、調査の上院米国小委員会によって開催された一連の公聴会)を見てたとき、 最前列の美しい女性が声を出さずに何か言っている。
警備員に連絡し、彼女に電話してもらった。
彼女は『マッカーシー、くたばれ』と意識下のアピールをしていた。
タッカーはすぐ次の飛行機に飛び乗り、翌月結婚した。
もうひとつこの映画は営利優先、人命軽視の企業にモラルと価値観を問うている。
アルゴ自動車は、左折信号を出しているときに衝突すると爆発するというテスト結果を知りながらも、リコールせ ず、放置した。
17万5000台のクルマを回収して修理する費用より、炎上事故を起こす確率の計算から、その訴訟費用の方が安いとわかったからです。
人間ドラマとサスペンス。
本格的な裁判風景。
1960年代と1980年代の対立。
乙な味で後に引くセリフとエピソード。
ジーン・ハックマンとメアリー・エリザベス・マストラントニオの好演。
私的には楽しめた映画でした。
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