ShinMakita

辰巳のShinMakitaのレビュー・感想・評価

辰巳(2023年製作の映画)
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☆俺基準スコア:2.6
☆Filmarks基準スコア:3.7




神奈川…
組のシノギであるシャブが盗まれ、自動車修理場を持つ山岡が疑われた。組の狂犬兄弟、竜二と武は怒り心頭、暴走して修理場を襲撃。山岡とその妻・京子を殺害してしまう。偶然その現場を目撃した京子の妹・葵は、居合わせた辰巳のクルマに逃げ込むのだった。辰巳も組の構成員で、死体解体屋として使われるチンピラだった。とりあえず葵を連れて竜二たちから逃げてしまった辰巳だが、葵を連れてこいと兄貴に命じられてしまい…


「辰巳」

以下、気持ちが強すぎるとネタバレする。



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「ケンとカズ」同様、裏社会の底辺で足掻く人間たちが追い詰められていくドラマ。辰巳はシャブ中だった弟を救えなかった悔恨を抱えて生きていて、そんな時に元カノの死を止められず、さらに弟を彷彿とさせる不良少女が飛び込んできたことで、組に歯向かう道を選択してしまいます。ヤクザ映画の定番プロットと「グロリア」のように守る者・守られる者の間にイラつきとシンパシー、そして絆という流れが描かれていたりとエンタメ性が高く、一瞬コミカルな雰囲気が流れたり前作に比べて余裕が感じられる一本でした。インディーズ映画とノワールは「竜二」の時代から相性が良く、予算のかからないミニマルな世界で閉塞感を出すことができます。あと、色の付いている有名役者が出ないことでキャラに先入観が入らないんですよね。本作はこの利点を最大限に活かしていました。その点で似てるなと思ったのは2年前の「JOINT」。知らない役者ばかりでキャラがどう動くか予想できないし、ヒリヒリ感が持続するのは同じ。しかし「辰巳」は計算されたロケーション撮影でさらにルックが豊かになって、商業映画としての完成度が高くなっていました。入江悠あたりが見たら悔しがるだろうなぁ…なんて思ったり。韓国映画に負けじと頑張るメジャーのノワール監督(三池崇史や白石和彌)ばかりじゃなく、インディーズ派にも良い人がどんどん出ています。若い観客には阪元裕吾が、俺たち世代には小路紘史がいるから、このジャンルの未来は明るい!
とりあえずオススメです。
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