ノラネコの呑んで観るシネマ

辰巳のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

辰巳(2023年製作の映画)
4.7
なにこれムッチャ面白い!
「ケンとカズ」の小路紘史監督、8年ぶりの新作。
イカれた外道兄弟に姉を殺された不良少女の葵が、復讐を決意。
無理やり手伝いをさせられるのは、色々因縁のある心に傷を抱えたアウトローの辰巳。
そう、これは西部劇の話型を現代日本でやったもの。
いわば裏社会を舞台とした、和製ウェスタンだ。
冒頭10分の展開が、いわゆる脚本の“ファースト10”のお手本。
ここで描かれる弟の喪失が、以降の主人公の行動原理となる。
森田想が強烈な面構えで演じる復讐少女の葵も含め、登場人物全員ワルで普通の人が出て来ない。
ゆえに世界観がまんま無法の荒野。
誰も警察に頼ろうとか日和ったことはせず、一度始めてしまったら最後まで駆け抜けるしかない。
物語の行き着く先は、最初から想像がつく。
辰巳の愛車コロナEXIVが強い存在感を放ち、裏社会版「ドライブ・マイ・カー」的な味わいがあるのが面白い。
ブログ記事:
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