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カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇のkuuのレビュー・感想・評価

3.3
『カラー・アウト・オブ・スペース -遭遇-』
原題Color Out of Space.
映倫区分G.
製作年2019年。上映時間111分。

恐怖小説やSF小説の先駆者H・P・ラブクラフトの『ザ・カラー・アウト・オブ・スペース(宇宙からの色/異次元の色彩)』(原作短編小説)をニコラス・ケイジ主演で映画化したポルトガル・米国・マレーシア合作SFホラー。

ケイジがネイサン役を演じるほか、
ネイサンの妻テレサ役を『レッド・スパロー』のジョエリー・リチャードソン、
長女ラヴィニア役を『ビッグ・アイズ』のマデリン・アーサーがそれぞれ演じる。
監督はリチャード・スタンリー。

ネイサン・ガードナーと妻のテレサは子どもたち三人とともに(原作やと3人の息子やったが、実写版では、2人の息子と1人の娘さん)大都会の喧噪から逃れるため、閑静な田舎に移住してきた。
しかし、前庭に隕石が激突して以来、一家の生活は心と体に影響を及ぼす地球外変異体との戦いに明け暮れ、理想としていた静かな田舎暮らしは悪夢へと変わってしまう。。。

個人的には、仄暗く寓意的でした。
依存症、家庭内暴力、文化、ソーシャルメディア、宗教、公害とか。
つまり、固定観念に囚われるなちゅうメッセージが込められているんかなぁ、その意味では、しっかりとしたB級のクリーチャー映画やと思います(あくまでもB級で)。
原作小説やと、見えない色とか、理解できないモンスターの描写とか、より抽象的な魅力があったけど、今作品、実写化じゃその色(マゼンタ)がピンク(赤紫?)になり、モンスターも同様に具体的になっている。
とは云え、個人的にはケイジらしい狂気とグロテスクなボディホラーが十分に盛り込まれてたし、驚愕とまではいかないまでも、面白さは維持されてました。
物語の最初の30分で、家族に関する諸々の背景(問題)がわかり、個人的にはキャラ立ちしたなぁと感じたけど、これは感情的な背景としてはわかりにくいかな。
この家の娘ラヴィニアにもっと焦点を当てた方が、この映画はうまくいったんちゃうかな。
ラヴィニアは、魔術やネクロノミコン(今作品の原作者の一連の作品に登場する架空の書物)に夢中になっているちゅう興味深い背景を持っている少女。
冒頭でラヴィニア怪しげな儀式を行っているのとか興味深い。
その儀式てのは、西洋オカルティズムにおいて重要かつほぼ普遍的な要素である五芒星の小追放の儀式って云うモンで、
このバージョンは、黄金の夜明けのヘルメス教団で使われているものをベースにしてる。
なんじゃそりゃって感じやけど😁。
ゴールデン・ドーン(黄金の夜明け団)は、1887年にウィリアム・ロバート・ウッドマン、ウィリアム・ウィン・ウェストコット、サミュエル・リデル・マザーズという3人のフリーメイソンによってロンドンで設立され、
1903年に解散した秘密結社。
19世紀末から20世紀初頭にかけて、オカルト、形而上学、超常現象などの活動を行っていた。
19世紀末から20世紀初頭にかけてのオカルト、形而上学、超常現象に関わる活動で、ヘルメス・カバラの研究、神学、精神開発、自己啓発、四大元素の認識、占星術、タロット占い、ジオマンシー、占い、アストラル旅行、錬金術などの実践に力を入れており、
20世紀に入ってから世界的に最も影響力のある魔術・超常現象のひとつとなっている。
しかし、マサースと他の2人との間の対立が原因で、1903年に教団は解散した。
しかし、マサースは1918年に亡くなるまで、自らの手で教団を再建し、英国と米国に寺院を設立した。
ゴールデン・ドーンは、アルファ・エ・オメガ、イシス・ウラニア・テンプル、ステラ・マトゥティナといった他の秘密結社に引き継がれ、
さらに、ザ・ヘルメティック・オーダー・オブ・ジ・ゴールデン・ドーン・インコーポレイテッド、オープン・ソース・オーダー・オブ・ジ・ゴールデン・ドーンといったオリジナルの更新版も存在してる。
なんにしても本作品の娘さんは神秘主義的なとこを全面に押し出して描いて欲しかったと個人的には切望した。

その代わりにと書くと変やけど、本作の大スターであるニコラス・ケイジに焦点を当てすぎている。
ケイジ自身のクレイジーなシチュエーション以外には何も持ってきてへん。今作品では彼のクレイジーさはあまりフィットせず、ある時点で少し疲れてしまった。
ガードナーが新たなアルパカの群れを、自分の子よりも重要にしてるように見えたり、奇妙なトランプの真似をしたりして、完全に脱線してた。
これが意図的なものであれば、よ~やったとは思うけど、そうでなければ、やりすぎかな。
妻のジョエリー・リチャードソンは家が謎の宇宙雲に囲まれた途端、ケージの狂気のレベルについていけなくなってしまうちょい場違いやったんかな。
しかし、この映画の中でも最も衝撃的なシーンの1つであるボディホラーの場面じゃ、リチャードソンの存在感が際立っていた。
この映画のトーンは、楽しむというにはあまりにも不均一で、2時間近い上映時間には不満を感じた。
また、コリン・スティントンのシンセサイザーは、極端に多い効果音に埋もれてしまっているのが残念やった。
それに、視覚効果がもう一押しほしかった。
印象的なセットデザインに多くの予算が費やされたんは間違いないやろしそれはよかったけど、安っぽいVFXの云い訳にはならないかな。
実用的な効果を用いれば、より効果的な作品になったはず。
まぁ烏滸がましいの承知の上で書くなら、決して悪くない作品やけど良作とも個人的には云えない作品でした。


隕石の特徴(小説より小生多少加筆)

編集熱には何の影響も受けず、変化も生じない。

可塑性があると云っていい程に柔らかく、鉄床の上では可鍛性を示す。

常に輝いており、特に暗闇では輝きが顕著になる。

分光器を前にして熱した時に発するスペクトルは、既知のどんな色とも異なる。
今作品で使用される色はマゼンタであり、可視光のスペクトル(赤、オレンジ、黄色、緑、青、藍、紫、別名『Roygbiv』は7つの頭文字から)。
特定の状況で赤と青を検出して心の中にマゼンタを作り出す。
目の光学ロッドの特定の相互作用において人間によってのみ知覚される。
赤と青は悪と善に関連しているので、それは色が悪と善から離れており、これらの概念を適用できない別の宇宙から来ていることを意味してる。

珪素化合物に親和性があり、接触させると互いに崩壊し、消滅してしまう。

磁性を帯び、特異な電気的性質を持っている。

塩酸・硝酸・王水等のあらゆる試薬を用いても傷がつかない。

強い酸を使うとわずかに冷える。大気中で縮小し続け、やがて消滅する。
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