このレビューはネタバレを含みます
バグダッド大学映画部、助監督を経て、現在、戦争の映像ジャーナリストでもあるモハナド・ハヤルが監督。
それだけに、全ての描写が現実感に満ち、生々しい。
相変わらずの侮辱レベルの邦題が付けられたが、前述の通りで極めてリアルで臨場感があり、終始、手足が冷たくなるような怖さがある。
画面の中の人々はそれどころでは無く、狙撃手はそのストレスに耐え兼ね、悪夢を見たり、恩人にまで手を掛けてしまう。
被弾の直接的な残虐描写は避け、極限の精神状態に焦点を向けることで、ドキュメンタリーとは違う戦争の不条理を表現している。
最後は、死んでしまった自分=近い将来の自分を見たのだろう。
そして死んでしまった自分からも何か言いたげに見られた。
その言葉を想像するだけで寒気がする。
何とも恐ろしい場面だった。
中東における戦争、紛争と同じく、既に始まっており、そして終わりも無い。
非常に観応えのある佳作。