シャケ

Share the Painのシャケのレビュー・感想・評価

Share the Pain(2019年製作の映画)
1.0
製作者の方のnoteを読んだけど、同性間の性行為をああいう風に形容するのは本当にやめて欲しい。ものすごく正直な感想だから良しとしているのだろうけど、それを当たり前の日常として暮らしている人もいる。そういう痛みは共有に値しないのか?

本編のほうは、どこまでもマジョリティに都合の良いストーリーとメッセージだな…と思った。なんかちょうど良い厳しさというか、低コストで意識が高い風を装いたい人にウケそうな内容。
多分作った人は基本的には優しい人(でありたい人)なのだろうけど、それゆえの悪気のなさがキツい。

性加害抑制のために男性が男性というだけで全員性暴力受けるのも、スタッフとして加害者を大量生産してるのもグロテスクすぎるし、こういうやり方もありではないでしょうか?みたいな雰囲気醸してくるの意味わからん。ないわ。
あの装置を性犯罪者に使わずに若者だけに押し付けてる様子から見るに、女性や若者の権利が認められていない高齢男性に都合の良い世界なんだろう。あと性的マイノリティの存在が完全に殺されている。
基本的にSPを乗り越えることを優しく応援する彼氏想いでピュアな(それでいて性欲はやたら強い、男に都合が良いともいう)女の子ばっかりなのが不自然に感じた。
あの制度が当たり前に受け入れられてる世界なら、女性のセクハラ発言や性犯罪ももっと増えると思う。男性は傷つけて良い存在だと公に認められているのだから。「男性の体ってSP受け入れる構造になってるんだってね。男性ってスゴイ!神秘的!😄ちなみにできるだけ若いうちの方が生物学的にいいらしいよ!」とか「ほんとはちょっとは気持ちよかったんじゃないの笑」くらいの地獄発言が母や彼女から出てきてからが本番じゃないか。

他人に優しくするなら、自分が痛いかどうかに頼るのは悪手ではないものの最善策ではない。なぜなら自分にとっては大したことなかったから、もう乗り越えたから、興味も関係もないから大丈夫、お前も我慢しろ、という理論が罷り通ってしまうから。他人に優しくする上で重要なのは、自分の感性を信用しすぎず、自分には理解できない、共有し得ない痛みや悲しみや過去が他人にあることをいかに学び、認めていくかだ。
シャケ

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