ネギの子供

見えざる人生のネギの子供のレビュー・感想・評価

見えざる人生(2019年製作の映画)
-
これがある視点の作品賞……。部門は違うけど「わたしは、ダニエル・ブレイク」「万引き家族」「パラサイト 半地下の家族」という見えざる人々を描いた近年のパルムドール受賞作と同じ流れだよね。もしくは「ドリーム」か。

舞台は1950年代リオデジャネイロ。主人公は固い絆で結ばれながら20歳そこそこで生き別れてしまった姉妹。姉は妹が海外に留学し幸せに暮らしていると騙され、妹は姉が駆け落ちしたまま海外で暮らしていると思い込む。両親は2人が近くにいる事実を知りながら。

超雑に例えてしまうとブラジル版「嵐の孤児」。しかし都合のいい、お決まりのラストミニッツレスキューがないからやり切れない。社会や家庭にその存在を隠蔽され続けた女性たちの悲劇を描く。ど直球の作品で、起こった事実にただ打ちのめされるのみ。おそらくラストの時間的な飛躍が評価されたのかな。

撮影編集音楽もろもろ(特にスローモーション)に魅力は感じないしまったく好みの映画ではないんだけど、性行為を描いたシーンの強度はなかなか。生理的な嫌悪というか、感情が逆撫でされる感覚。特に妹の妊娠が決まるシーンで、旦那の全身がピンッ!とまっすぐに伸びた状態を斜め俯瞰で捉えたあのカットは忘れられん。