木蓮

こんなにも君が好きで goodbye motherの木蓮のレビュー・感想・評価

-
ベトナム語原題はThưa mẹ con đi 。直訳すると「お母さん、僕もう行くね」という感じなのかな(わからんけど)
アメリカで9年間を過ごしたベトナム人青年が、在米越人の男性の恋人と一緒に帰省するというところから物語が始まり、青年の家族との交流を深めながら、一方でなかなか家族に打ち明けられない苦しみや、早く結婚して子供を作れという親戚の圧力、(特にヘテロ男性からのホモソーシャルな)LGBTQへの偏見と暴力などの苦難にも直面していく。すごく王道なゲイ映画のストーリーだなというのが正直な第一印象だけど、主役二人の繊細な美形っぷりと長閑で光に満ちたメコンデルタの美しい風景が相まって、ベトナムの青春映画の形式でLGBTQ映画をつくった、というのがこの映画の特色なのかなと思った。(美しい青春の故郷としてのメコンデルタはMắt biếcですごく如実に描かれていたな〜。北部の紅河デルタを舞台にした青春映画もあるのかな?気になる…)
一方で、ストーリーに直接関係しないVan とIanの馴れ初めやパーソナリティがすごくサラッとしか触れられていないのが、「美しく儚く苦労する」世界に無理やり彼らを押しとどめているようで、ちょっと気になったかな…。
それでもやはり特にアジアにおいてフェアリーテイルゲイでも、引き裂かれなければならない悲劇としてでもない同性愛の物語を表現としてつくっていくのはまだまだ重要な仕事なので、この作品の完成度の高さは評価されるべきだと思う。
そして主役二人ももちろん良いけど、映画全体を支える、母役のHồng Đàoの演技が本当に見事だった。ほかの出演作もぜひぜひチェックしたい〜。
木蓮

木蓮