しか

リチャード・ジュエルのしかのレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
3.8
やっぱサム・ロックウェルさんなんだよなぁ

クリント・イーストウッドによる
アトランタオリンピックで起きた実話の映画
マジで毎年映画作ってんなこの人、、長生きしてね

安心と信頼のイーストウッドクオリティでした
完璧な起承転結

リチャード・ジュエルは爆弾の第一発見者で英雄なのに、母親と2人暮らしで警察とかに憧れる太った中年の白人男性ってだけで
英雄になりたがってる爆弾犯として疑われるのは理不尽だけど、それがアメリカでは常識というか、社会的弱者の条件なんだろうね
『ジョーカー』でも母親と住んでるって発言したら周りの冷ややかな目というか空気が漂ってたし

リチャードは純粋な優しさを持つ人で模範的人物像なのに、FBIが捜査対象にした瞬間にメディアリンチがはじまるのは哀しいというかマイナスな感情になるなぁ

サム・ロックウェル演じる弁護士はすごくいい奴で、やっぱりサム・ロックウェルしか信じられないなもう
周りの人はリチャードに対して冷たいけど、彼は1人の人間としてリチャードに触れてる

イーストウッド作品の演技はどちらかというと淡々としているけど、そこまで感情的な表現はなくとも、観客の感情を揺さぶるのが上手いですね

この作品はリチャードと弁護士、メディア、FBIと3つの軸で話が展開してるのですが、
ポスターにもある「全国民が敵になった」のがあまり伝わってこなかったというか
当時まだ自分は産まれてないので、タイムリーにその事件を知った人や記事や報道を見た人がどう思ったのかなどの民衆の意見や、リチャードが爆弾を発見した時にいた警察やボランティアの人は何を感じていたのかとか知りたかったです
自分はリチャードと弁護士側の視点で見てしまうから、メディアやFBIに対してイライラしました

今の時代にこんな事件が起きて、仮に英雄のはずの第一発見者が疑いをかけられたら、自分や人々は何を感じ、何をするんだろうな
多くの情報で飽和していて、誰もがSNSで情報や意見を発信できる時代だからこそ、より踊らされやすい人は踊らされて、自分の意見を信じる人は信じるのかな、、
攻撃的になった人がいたとして、個人情報をネットで広めたりだとかして、冤罪だとハッキリわかったら、、罪のない人の人生をぐちゃぐちゃにしてしまう、、怖いな
さらにメディアの意見を丸呑みにした人が大多数を占めたらおそらく人々もその意見に呑まれるだろうか
とかとか色々と考えさせられる社会的なテーマを含んだ良い作品でした
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