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永遠の散歩のHKのレビュー・感想・評価

永遠の散歩(2019年製作の映画)
3.3
東京国際映画祭にて鑑賞。ラオス映画。監督はマティー・ドー。キャストはヤナヴッティ・チャンタルンシー、ポー・シラッサ、ヌーナファ・ソイダラ

50年前に母を死なせたことを後悔して生きてきた老人が霊力を授かって過去に戻る。果たして母の命をつなぎとめることはできるのか? ヴェネチア2019出品作。

東京国際映画祭、TIFFに初めて出向きました。学生なら500円なのでもうちょっとその空間を堪能したかった。もう学生期間も終わり無理になるのですが。

この映画は監督のQ&A付の会見付きで見ることが出来ましたが…、物凄い静かでホラーテイストなのは良かったです。ただし個人的にはちょっと物足りなかったというか、やはり途中眠くなったというか。

個人的には火葬をして遺体を完全になくしてしまうことに対するアンチテーゼのようなものは、この映画の中で感じ取ることが出来ました。監督というか、ラオスという国の独特の死生観というものと結びついているので、学術的な発見というものは映画内で発見することが出来てよかったと思います。

主人公のおじさんが毎回吸っているあのメカニカルな煙草がユニークで浪漫溢れる。毎回鼻や口からアニメみたいに煙が弧を描いて出てくる所が絵的に良かったと思いますよ。

前述したアンチテーゼとして出されるであろう放置されて腐敗した遺体の表現も生々しかったですね。劇中の時間経過の具合を口上での説明ではなく、この死体の劣化具合などで説明する所は映画的で良かったと思います。

タイムリープを扱った作品ですが、ラオスの自然溢れる古びた世界観と近未来的なギミックの組み合わせが斬新だったのと、複雑な時系列というものを綺麗に纏めている所がとても良かったと思いますよ。

ただ、個人的にではありますが、いやこれは恐らく自分の映像から情報を把握する能力不足もあると思います。その点も相まってちょっと自分と合わなかったかなと思いますね。でも、DVD化されたら是非とももう一回見てみたい作品です。

ただ一回の視聴だと全容を把握するのが自分のそれだと困難だったのがくやしい。ああ私って馬鹿だなと常々思います。

あの男の子が住んでいる高床式の家もまた東南アジア独特のものでとても魅力的でした。見れて良かったと思います。
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