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大地と白い雲のナのレビュー・感想・評価

大地と白い雲(2019年製作の映画)
4.0
私が経験したモンゴルだ、私の中にいる人間だ、と思った。光源が月しか無くて足元すら見えない圧倒的な暗闇の夜と、立っている場所から地平線までを遮るものがない360度の大地、日の出と日の入りがくっきりと分かる頭上の太陽の動き、草原を燃やさんばかりの夕日、その真ん中に建つゲルと巨大バケツで羊乳と茶葉をかき混ぜて作るミルクティー(バター茶)。私は同世代の人間と比較したらかなり世界旅行をしている自覚があるけどモンゴルで体験した圧倒的な自然に勝るものはなくて、今でもあの平野や生活に憧れている。でもそれは日本という国で飽和するエンタメに触れて学んで食って寝て着飾って育ったからという自覚もあって、この映画の都会に憧れるだらしのない夫とそうでない妻は私の中にいる二人だと思った。やりたいことだけをやってたい私、酒が好きな私、金遣いの荒い私、そういうのが良くないと思っている私、だらしのない人間が嫌いな私。結局ないものねだりだし隣の芝だから青く見えるんだよな。
経済的な豊かさと学歴的な豊かさがある人間だけが両方を好きなように得られると思うとこの世が憎い。
にしても夫、どうしようもねぇな。
ナ