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悪なき殺人のかのネタバレレビュー・内容・結末

悪なき殺人(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

奇跡的な噛み合いを見せて終わらない負の連鎖。女性はいかにして姿を消したのか。
個人の一人称的な視点からはこの“偶然の積み重ね”を観測できないというのが最大のミソで、実際に劇中でも複数の視点から多角的に物語を捉えることで彼女の失踪が紐解かれる構成になっているのが面白い。視聴者の視点では真相がわかっているが、実は劇中において全てを知る者は犬のみなのだ。

勘違いを先走らせて正義感を暴走させる男性に、日銭を稼ぐべく古典的なネカマを働く青年。
女性が殺害される直前の一幕も、“連絡している相手が危機に晒されている”という先入観がなければあそこまで拗れることはなかったはず。

映画のように俯瞰できない世界で生きている私たちにとって、個々人の行動が及ぼす影響を考慮するのは難しいことだけど、現実で起こっている不幸も詳しく分解すればこんな出来事の積み重ねなんだろうなあ。
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