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ブラニガンのShinMakitaのレビュー・感想・評価

ブラニガン(1975年製作の映画)
2.0
シカゴ市警警部補ジョン・ブラニガンは、組織のボス、ラーキンを追っている最中に上司に呼び出された。逃亡したラーキンはイギリスにおり、スコットランドヤードに逮捕されたというのだ。身柄を受け取るためロンドンに飛んだブラニガンは、ヤード警視長スワンからラーキンが保釈され厳重な監視下にいると聞かされる。そして直後、ラーキンが何者かに誘拐されたとの知らせが…

一方、ヒースロー空港には殺し屋ゴーマンが到着。ブラニガンを始末するためラーキンに雇われている男だ。ラーキン誘拐犯を追うブラニガンの背後に忍びよるゴーマンだったが…



「ブラニガン」


ジョン・ウェインが70年代アウトロー刑事アクションの波に乗って主演した作品。同じ時期にハックマン演じるポパイ・ドイルもフランスに行ってるから、アメリカの暴力刑事が外国にやたら迷惑かけた年なんですな1975年って。

「ブラニガン」がダーティハリーやフレンチコネクションなどと違う点は、ユーモアが冴えているとこ。スワン警視長役のリチャード・アッテンボローが最大の功労者で、気取って礼儀正しい感じで出てきたと思ったらいつしかブラニガンに感化され、パブで大暴れしたり暴力尋問したりとノリノリでしたね。このパブシーンがスゲェお馬鹿で、乱闘中にビール飲みに入店した客が二度顔面を殴られ外に出され、挙句に一斉検挙シーンで一番最初に逮捕されるという気の毒さが俺の笑いのツボにハマりました。

海外出張もののお約束としてカルチャーギャップシーンがありますけど、面白かったのが、車載電話で女刑事ジェニーが多忙のため恋人とのデートをキャンセルする場面。すかさずブラニガンが「モンキーレンチ」と口にすると、意味のわからないジェニーが「スパナのこと?」と訊きます。モンキーレンチはスラングで〈物事が進まない・順調にいかない〉の意味ですが、アメリカの独特の言い回しなのかな。一つ勉強になりました。

ガンマニア的には2丁に注目。まずはブラニガンが愛用し、イギリスに来てるのに意地でも手放さなかったリボルバー。昔レンタルビデオで見た時は普通にコルトパイソンだと思ったんだけど、いくら大男ウェインでも少々小さすぎないかと不思議に感じてました。これパイソンじゃなくてダイヤモンドバックなんですよね。スワン警視長が「腰の38口径を預かりますよ」とブラニガンに言うシーンがあって、「ん、357口径じゃないの?」と疑問に思った人もいるのでは。パイソンは357弾が撃てるけど、ダイヤモンドバックは38スペシャルなんですよね。
しかしスワン警視長、ホルスターからグリップしか出てないのによくダイヤモンドバックって見破ったなぁ。相当なガンマニアか?

もう一丁が、殺し屋ゴーマンが使うモーゼルM712シュネルフォイヤー。お馴染みモーゼルミリタリ風の外観に大袈裟なデカいマガジンがついた奴ですね。こいつのフルオートシーンがしっかりアップで見られるので、モーゼル好きはマストな映画と言えますね。


キャスト的に注目してほしいのは、殺し屋ゴーマンが前金を受け取るフランス語教室で抱く娼婦。これイギリス以外では無名だったレスリー・アン・ダウンなんです。「ハノーバーストリート」主演の5年前ですね。超綺麗なのでお見逃しなく。
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