千年女優

キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱の千年女優のレビュー・感想・評価

3.5
19世紀末。ソルボンヌ大学で学ぶポーランド出身の女性科学者で、自己主張の強さを疎まれて研修室を追い出された後に出会った物理学者のピエールと結ばれて彼と共に熱心に研究に励むマリ・キュリー。新元素ラジウムとポロニウムと共に「放射能」を発見して後に物理と化学で二つのノーベル賞を受賞する彼女の足跡を描いた伝記映画です。

封建的な時代に女性ながら歴史に残る発見をした世界的にも知名度の高い偉人の半生を、イラストレーターやアニメでも活躍するイラン人女性監督マルジャン・サトラピの監督で映画化した2020年公開の作品で、新型コロナの影響で劇場公開が見送られて物語には疑問の声もありましたが、主演ロザムンド・パイクの演技が高く評価されました。

本人の多岐に渡る魅力故仕方ないとは言え科学に加えジェンダーに家族、移民と分散する語り口は決してスマートとは言えません。それでも美点にばかり着目するのではなく、放射能がもてはやされて有毒さをかえりみなかった当時や後に原爆へと繋がった歴史も描いて、科学がツールに過ぎず毒にも薬にもなりうることを捉えている一作です。
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