Kota

ダンサー そして私たちは踊ったのKotaのレビュー・感想・評価

4.1
“ここに未来はない。旅立て。”

国立舞踊団で幼少期から踊るメラブと、新しく加入したイラクリ。二人は代表をかけたオーディションでライバルになるが、それと同時に惹かれ合っていて…。ジョージアという国が舞台の今まで見たことがない類の美しい映画だった。

とりあえず、この映画は見る時はジョージアという国を理解しておくといい。ロシアの南側と隣接する小さな国で人口は400万人程度。今でも独自の文化や政治が残っているという。この映画でも舞踊団のダンスや街の雰囲気始め、その独特な空気感と日常に浸ることができるのは醍醐味。

主人公メラブの彫刻のような美しさも含めて“君の名前で僕を呼んで”を彷彿させるようなシーンが多く、少なからず影響は受けているんだろうなぁと。古き街並みを背景に色使いはカラフルで見惚れるショットの数々。後半の結婚式場でのワンカットとメラブのファッションがいちいちお洒落でたまらん。最後のダンスシーンからのラストショットはカッコよすぎて拍手。

小さな国で訳もわからず血筋で踊っていたメラブ。自分には向いていないと分かりながらもそれが自分にとって全てだと思っていた。イラクリとの出会いをきっかけに伝統や偏見をローブと共に脱ぎ捨てて、彼は飛び立つ覚悟を決めた。

全体的にハリウッド映画にはないなんだか凄いもの観たなって気分になるからとてもオススメ。
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