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今宵、212号室での一人旅のレビュー・感想・評価

今宵、212号室で(2019年製作の映画)
4.0
クリストフ・オノレ監督作。

パリを舞台に、夫婦関係に危機が生じた夫婦の葛藤とその後をファンタジックに描き出したクリストフ・オノレ監督&脚本作品で、マルチェロ・マストロヤンニ&カトリーヌ・ドヌーヴの娘であるキアラ・マストロヤンニが夫への愛情が冷めつつある妻を妙演しています。

パリのアパルトマンで暮らすマリアとリシャールは結婚20年目を迎える子無し中年夫婦だが、夫婦仲は上手く行っていない。マリアが自分以外の男と浮気していたことを知り愕然としたリシャールはマリアを責め立てる。マリアはそんな夫に嫌気が差し、アパルトマンの向いにあるホテルの一室で一夜を過ごすことにするが、その時20年前の若い頃の夫が姿を現してきて…というシチュエーションで、マリアの前に不思議と姿を現した20代の夫のほか、夫の青春時代の初恋相手であるピアノ教師、マリアの母&祖母、その他昔付き合っていた数多くの男性達をホテルの一室に続々登場させた上で、現在のマリアと束の間の交流を繰り広げていく様子を登場人物の回想&時空の飛翔と共に幻想的に映し出しています。

夫との関係が上手く行かない妻とホテルの一室に出現した昔の夫やかつての恋人達との幻想的な関わりを通じて、自らの原点に一度立ち返った末に今現在の夫婦関係の有り様を見つめ直していく様を描いた“夫婦愛修復ドラマ”で、劇中を彩るシャンソンの楽曲が聴き心地抜群ですし、目元&横顔がマルチェロパパに瓜二つなキアラ・マストロヤンニの心情的な演技も輝きを放っています(大胆ヌードも披露♡)。
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