まりぃくりすてぃ

劇場版 そして、生きるのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

劇場版 そして、生きる(2019年製作の映画)
3.0
悪いけど、有村架純っていう主演女優の顔に元々まったく魅力を感じない私は、彼女の自己満足のためのアイドル映画を見せられてる場面がかなり多かったせいで途中退室したくてしたくて。。。
有村-坂口健太郎、の告白シーンやキスシーンで、かっこいい坂口さんを陰にしたり向こう側にしたりして有村さんばっかりを見せてくれちゃった。特に、キス時の半隠れの坂口さんが “銃殺されたキツネ” みたいに変顔になっちゃってたのが悔しい。もっと丁寧に撮ってよねぇ。知英さんぐらい美しい人をずーっと見せつけられるのは心地よいんだけどね。
(ただ、ビジュ面だけでいえば、終盤の若ママとなった有村さんはよかった。その時点ではアイドル撮り的なのをさすがに終えてたからだね。そういうこと。いかにも邦画って感じのバカっぽい撮り方や演出はやめなさいね。ところで、演技力にかんしては、いいとも悪いとも思わなかった。彼ら若世代役を。知英は、表情変化だけでも見飽きないけど。)
父親役・光石研さんは存在感から演技まで素晴らしかったよ! ダークじゃない役の光石さんって、けっこう作品の深い地点まで触れていくよね。碁石の白が黒よりわずかに小さく引き締まってると似て???
その光石さんが被災地の床屋さんに行った場面には、ちょっと泣かされた。そこからの、天音のプロポーズらへんにかけては「この映画、後味よさそう! よさそう!」って気持ちのいろんなところが私の中ですっかり立ち上がったよ!!

でも、その後にストーリーは暴走ぎみに。着地はいいほうだから、駄作だとは思わないけど、うーん、起伏ばかりつくって濃さを増さないこういう作劇には、頷けないな。
岡田恵和、昔から嫌い。十代の頃、TVの『ちゅらさん』を観て私は「何てくだらない物語の作り方なんだろう」と落ち着かなかった。以来、いつ岡田物と再会しても同じく饐(す)えてるから途中で吐き出しそうになる。
人を感動させようと狙えばすぐ「肉親や、大切な人の、重病・病死(や事故死)」を派手に持ってくる。そのたびに医師や看護師が登場。いっそ岡田は救急病院にでも勤めれば? 発想が貧しいね。登場人物を死なせるんじゃなく、自分自身が日頃から命を懸ければいいじゃん。
(監督も製作者たちもそうだろうが)岡田っていう男は、年齢からいっても、きっと、バブルの頃の織田裕二や中山美穂や斉藤由貴や鈴木保奈美のやってたらしい “トレンディードラマ” を延々とやり続けたいんだろうね。劣化ばかりが続く二等国家の日本で、たまたま社会的・経済的にそこそこ成功した人間として、心の中のバブルドラマを寒々シリアスなポスト東日本的情景の中でだらだら続けたいんだね。ほんと寒い。。
たった一作でいいから、世の中を(できれば全世界を)本当に変えるような傑作シナリオを書くことに、残りの全生涯を懸ければ? 金を稼ごうと思って次々シナリオ書くのはもうやめてさ。。。