千年女優

街の上での千年女優のレビュー・感想・評価

街の上で(2019年製作の映画)
3.0
下北沢の古着屋で働く青年で恋人の川瀬雪から唐突に浮気を告白されて別れを告げられた荒川青。行きつけの飲み屋で愚痴をこぼす傷心の日々を過ごす彼が、古本屋定員の田辺冬子や自主制作映画への出演を持ちかける学生監督の高橋町子、撮影で知り合った衣装係の城定イハらの女性たちと不思議な関係を築いていく様を描いた青春映画です。

角田光代の小説を原作にした『愛がなんだ』で評価を高めた今泉力哉監督の『mellow』に続く自身執筆のオリジナル脚本作品で、再開発によって定着していた「若者によるサブカルの街」という特色が失われつつある下北沢を舞台にした主演の若葉竜也を始めとする若手キャストによる他愛もないが愛おしいコミュニケーションを盛り立てます。

今泉力哉監督のオリジナル脚本としては珍しく終盤に物語を分かりやすく盛り上げるお話的なマジックが施されていて、それか彼本来の持ち味で本作でも披露されるオフビートで現実味のある人間模様との相性の悪さをを感じさせますが、彼がテーマとする「好きがもたらす人生への潤い」をいくつもの「好き、かも。」で彩っている一作です。
千年女優

千年女優