平田一

ルディ・レイ・ムーアの平田一のレビュー・感想・評価

ルディ・レイ・ムーア(2019年製作の映画)
4.1
スタンダップコメディをこれまで多く配信してきたNetflixだからこそ出来た映画だと思う。批判されても流行に合わせることしか出来ない世間に、ガッツとアイデアでかちこんだ実在したエンターテイナー。しかもブラックスプロイテーションの名作の生みの親。主演はエディ・マーフィーととにかく楽しいこと尽くめ!

ボクは『ドールマイト』という映画は存じなかったけど、久しぶりに心踊る映画内幕ものですよ。何もなかった人間がコメディアンに目覚めていって、名作と呼ばれている映画の誕生へと向かう。断片的に見た場面はスゴく素人丸出しだけど、ただ無難に繋ぎ合わせた無味無臭の作品(点数で例えるなら80点狙いの映画?)には出せないエネルギーの迸りがありますね。

加えて足で撮影クルーを集めるルディの姿勢には、これから社会人になる、そしてすべての社会人に、ルディのようにはなれなくても是非とも刺激を受けてほしい。携わった撮影クルーすべてに満足してほしくって、サンドイッチを作ることだって喜んでやってやるって姿勢、今の製作会社で言える人どれだけよ。

だからこれは映画内幕ものが好きな人もだし、流行に同調するより自分の好きに従いたい人たちに一回は見てほしい作品です。一貫してポジティブな作品パワーになっていて、そしてとにかくエディ・マーフィーがものスッゴく素晴らしい。

エネルギーに溢れているルディ・レイ・ムーアという努力家で生まれながらのエンターテイナーにピッタリ! 何もないところからコメディアンの才に目覚め、無謀だがエネルギーに溢れた映画制作へ。勢い任せで挫折もあるし、過去を恥じてる面もあって、スーパースターのオーラを使って隠したがってる側面も全部太陽に変えている姿も含めて圧巻です。

あとボクはダヴァイン・ジョン・ランドルフさんが良かったです。店内で浮気旦那にグーパンを喰らわせて、ルディに度胸を見出だされて、才能を開花する。ドールマイトの撮影中に弱るルディのケツを蹴れるカッコ良さも完備している、とにかく素敵な女性です! 調べてみたら『THE GUILTY / ギルティ』って同名映画のリメイク版に出ている女優さんでした。もしかしてあの人か?

まとめるととんでもないエンターテイメントだし、19世紀の興行師、P・T・バーナムを描いた『グレイテスト・ショーマン』と併せて観たい作品です。


メチャクチャ好きな台詞
「大事なことは自分のよく、知ってることを書くんだ」
「これまで…生きてきた人生、つまり、あなたがしてきたこと、自分の経験を、そのままそっくりさらけ出すんだ」
平田一

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