先住民の影響を受けながら育った白人青年の生き様を描いたヒューマンドラマ。
ブラッド・ピットが主演、ジュリア・オーモンドとカリーナ・ロンバードがWヒロインを演じ、アンソニー・ホプキンス、アイダン・クイン、ヘンリー・トーマスらが共演。
騎兵隊の大佐のウィリアム・ラドロー（アンソニー・ホプキンス）は政府による先住民の皆殺しの指示に嫌気がさして軍を辞め、モンタナで牧場を営みながら3人の息子と暮らしていた。その中でもお気に入りの次男トリスタン（ブラッド・ピット）は先住民の族長とも親しく、彼らの文化にもとけ込み、さらには先住民とのハーフの娘（カリーナ・ロンバード）とも仲良く暮らしていた。ウィリアムの妻イザベルは、過酷な自然環境に馴染めずに町で別居してしまう。ウィリアムのもとで三人の息子達は強い信頼と絆で結ばれながら成長し、末っ子サミュエル（ヘンリー・トーマス）はボストンのハーバード大学に進学し、その時に知り合った婚約者スザンナ（ジュリア・オーモンド）を連れて戻って来る。やがて1914年に第一次世界大戦が勃発し、3兄弟は父の反対を押しきって自ら進んでドイツとの戦闘のために出兵するが、サミュエルは戦死してしまう。残されたスザンナは、もともと惹かれ合っていたトリスタンと結ばれる。同じくスザンナに好意を持っていた長男のアルフレッド（アイダン・クイン）は家を出ていき、町で事業を起こして大成功を収めて下院議員にまで出世する。一方、トリスタンはスザンナを愛しながらも結婚することはなく、一人放浪の世界一周に旅立つ....
甘いフェイスマスクのブラッド・ピット演じるトリスタンが、クマと素手で決闘したり、船でニューギニア、ジャワ島、アフリカ、クレタ島など世界を巡るなど野性味溢れる好青年を好演していて魅力的。
一方、スザンナはモンタナの美しい大地を馬に乗って駆け巡り、彼女の可憐かつ活動的な姿が素敵です。
末っ子の弟の戦死によって婚約者を失ったスザンナをめぐり、仲の良かった二人の兄弟と彼女に複雑な関係が生じ、苦悩と信頼の心情が交差する。
様々なボーダーラインを超えた自由でワイルドなトリスタンの生き様が描かれた逞しくも繊細で切ない作品です。
「いかにも境界線を 生きた男らしい この世とあの世の境界線を」
2023.6 NHK BSPで鑑賞（字幕：古田由紀子）
第67回 アカデミー賞で撮影賞を受賞（1995年）
