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1917 命をかけた伝令のsueのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
3.5
闘う武器も身を守る装備も全て失ったまま、伝令は戦闘が始まった砲弾飛び交う最前線を「横断」する。無意味な殺し合いを止めるため、仲間の命を救うために。

この場面を描く為に、ここから逆算して物語をつくったのではないかと勘ぐりたくなる程に、本作品のテーマが集約されている素晴らしいシーンだと思う。

つまり、その場面がこの映画のピーク。

正直、ふたりの兵士が起き上がり塹壕の指揮所へ向かうところから映画が始まったとき、
「この冴えん若者に2時間密着…?しかもワンカットで…」と先行きしんどく思ってしまった。

で、実際しんどかった。緊迫した場面はともかく、静かな絵面になると彼等に対する興味が持続しないのだ。

平凡な風貌の役者に演じさせてリアリティを出したかったのだろうか。別にティモシー・シャラメとルーカス・ヘッジスを起用しろとは言わんが…(あ、それすごく観たい笑)

ファンの方には悪いけど、伝令役のふたりの役者さん…スターオーラが無さすぎて今のところ名前を覚える気になれない。

いっそ「プライベート・ライアン」のカパーゾの手紙のように、突撃中止命令の伝文が死者の手から生者に引き継がれながら現地に辿り届く展開がよかったかも(個人の見解です)。

この映画最大の見どころはロジャー・ディーキンスと彼の撮影チームの超絶技巧。そして英国スター男優の相次ぐワンポイント出演。

アカデミー作品賞には、ちと弱かった。
「パラサイト半地下の家族」の受賞に納得。
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