ひろ

1917 命をかけた伝令のひろのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.3
監督・脚本をサム・メンデスが務めて製作された2019年のイギリス/アメリカ映画

第一次世界大戦の最中、後退したドイツ軍を追撃しようとするデヴォンシャー連隊。しかし、それはドイツ軍の罠で、その事実を知ったエリンモア将軍の命により、若き将兵トムとウィルは伝令を伝えるために命がけで最前線へ向かうことになるというお話

この作品は没入感がすごい。長回しのワンカット撮影を上手に繋げ、途切れるシーンがほとんどなく、戦場のリアルが伝わってくる。なので、観ている方は緊張感が持続するのでとても忍耐がいる。終始ドキドキしてしまう。トムとウィルの後ろにいるような感覚。だからすごく感情移入していく

オスカーで撮影賞と音響賞と視覚効果賞の3部門受賞したのも納得の出来栄えだ。超長回しのワンカットにたくさんのエキストラ。カメラワークのミスも俳優のミスも許されない。戦場とは違う緊張感があったに違いない。ウィル役のジョージ・マッケイやトム役のディーン=チャールズ・チャップマンといった若手俳優がよく神経のすり減る薬を演じきった。それ以上にカメラワークがすごい。現場の作品へかける情熱が伝わってくる

若手を支えるかのようにマーク・ストロング、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチなどイギリスを代表する俳優が脇を固めている。これは例年のアカデミー賞だったら作品賞を獲得していた作品だと思うが、今年はアカデミー会員の傾向に大きな変化があった年なので惜しくも受賞ならず。しかし、間違いなく名作と言っていい作品だ

1600人もの命を助けるための重たいバトンを渡された若き将兵。現代だったら無線機で連絡がとれてしまうのに、命をかけて自らの足で伝令をしないといけないなんでとんでもないことだ。そのたった一つの使命を果たすために、ひたすら走る若き将兵。その走る姿が泣けてくるんです。がんばれ、がんばれ!ってなるんです。24時間テレビのしらけるマラソンとは違うんです。物語に没入しているので、手に汗握り、ただ走る若者を見つめ続けるのみ。全てが終わったラストは、いろんな意味で解放され爽快感で終わる。戦争なんか無ければいいけど、戦争映画じゃないと伝わらないメッセージもあるはず。そのバトンを受け取るかいなかはあなた次第
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