きまぐれ熊

アラビアンナイト 三千年の願いのきまぐれ熊のレビュー・感想・評価

4.2
終わり方めっっちゃ好き。
事前の想像した中ではしっとりしてるパターンの方の映画って感じ。

まずモチーフが良い。
ナラトロジー(物語論)も、不死の者の年代記も好きなので、俺得セットの詰め合わせみたいな映画だった。アラビアンな衣装も好きだし。

どんでん返し系ではないけど、がっつりネタバレしますので、以下注意です。




ちょっとオチの解釈は多義的で読み取れないけど、物語論を研究していて願いの物語を俯瞰的に見ることができるはずの主人公が、絆されて「教訓の物語」構造の中に取り込まれてしまうっていう話なのかな〜と受け取った。

中盤に出る、もう絶交やろ、ってレベルで主人公とバチバチに喧嘩するお隣さん。彼女たちにお土産持って行って謝るのってそうそうできることじゃないと思うけど、それが出来たのははジンの豆のお菓子があったからで、あの時点でもう既に愛の教訓の物語に取り込まれちゃってたんじゃないかな〜と言う印象。

で、それが中盤唐突のラブストーリーになる展開と近い関係があって、いきなり「貴方を愛したい」ってアリシアが言ったのは、どちらかというと研究者としての目の前の不思議な物語に名前を連ねる存在になりたいっていう、物語に対する愛の配分の方がデカかったんじゃないかな〜と思う。
結果的にジンに愛情を持ったけど、それがうまくいかないのが自明なのは劇中のアリシアが語るセリフ通り。与えられた生活だから中続きしないって事ですよね。

そこからラストシーンの妥協点に至るロジックは全然さっぱり分からんけどw、ビターでリアリティのある生活感があって自分はとても好きです。
アリシアもまた、ジンの長大な人生の1ページになったエンド。美しいじゃん。


過去のジンのオーナーのストーリーもみんな良かったな。全体的にギリギリ同情できないくらいの可哀想さと壊れっぷり。特に3人目のエピソード・ムラトの哀れさは虚しさすごくていいっすね。
ところでムラトの弟のハーレム、凄い豊満な女性ばっかりだったけどあれ自前?CG?もしCGじゃなかったらよくあんなにナイスバディのキャスト集めれるな。そればっかり気になってたわ。
きまぐれ熊

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