狭須があこ

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーの狭須があこのレビュー・感想・評価

3.8
「エンドゲーム後のMCU、こういう風にはなってほしくないな」と思った通りのMCUの姿を中盤くらいまで見せられてちょっとしんどかった

元居たヒーローの人気を使って話を繋ぎ、脇役と新キャラのキャラが立つまで必死にがんばり、サノスの時何してたん?の敵がボコボコ出てくる
だから迫害されたミュータントはMCUじゃなくて!!!!!
Xmenでやったらいいだろ!!!!!!!

と思ってめちゃくちゃ低いテンションで見ていたものの、シュリの境遇が可哀想すぎて流石に同情してしまい、憎しみに囚われるシュリを見て「そりゃそうなってもおかしくないねぇ」と思った
みんな悲しいし、つらい。そんな目にあえば、怒る権利だってある。
そこで気づいた

全員が囚われていた憎しみの連鎖を一人断ち切った、シビルウォーでのティチャラのヤバさに。
その精神をシュリは引き継ぐことができず、戦いの中に巻き込まれていくワカンダというのは、ただ国王不在で隙だらけの国なのではなく、まさしく憎しみを断ち切れるヒーローが消えてしまった世界なのだ…

(以下ちょっと終盤に触れるかもなので見てない人はここまでで
とりあえず本編を見ておいで!)

オコエの「白人(Colonizer)なのに捕まってるの?」とかいうちょっとしたセリフも「今まで黒人を捕まえてきた白人が捕まってるなんておかしいわね」みたいなポリコレ逆差別みたいなセリフなんだろうけど、あんなに愛されていながら、理解されていながら、「自らの憎しみを断ち切ることができる」ティチャラの精神性はまじで誰も引き継げない気高さだったんだな、という

別にチャドウィックボーズマン本人にそこまで思い入れがあったわけでもブラックパンサーが推しだったわけでもなく、序盤は「映画と一緒くたに追悼するほどのオタクではないからなぁ」と思っていたけど
最後のシーンで涙腺に来た
偉大な男だってことが、いなくなってわかりました。

こうやって主人公不在の中、「主人公誰になるんだろう?シュリ?オコエ?新キャラ?」って思わせて、映画一本分の有事の際の行動を見て「あ、こいつは精神性を引き継げるじゃん」って視聴者に気づかせるの賢いな…と思うとともに、主人公不在で一本映画見るのけっこうキツイなと思いました

やっぱ何らかの形で、カリスマを求めてるんだわ
MCUにはね…
狭須があこ

狭須があこ