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デンマークの息子のmajiziのレビュー・感想・評価

デンマークの息子(2019年製作の映画)
4.0
息の詰まる展開と、正解のない課題を突きつけられる作品。
移民・難民問題は日本も他人事では無い。

悪意をもった見方をすれば、移民や難民という名を語り、あらゆる利権に群がり悪用する、移民先で対立する民族と衝突を起こす、宗教や文化の押し付けなど『郷にいれば郷に従え』が通用しない。

一方でその国に馴染もうと必死に努力する人々も必ずいるわけで、丸括りには出来ないはず。

しかし国民に不満がたまる瞬間というのは、よそ者によって自分たちが不利益を被っていると感じること。
侵食されることに敏感なのは敵対するのがたとえ同じ人種であろうと、動物的本能なんだと思う。

縄張り意識を綺麗事でおさめようとしても、じゃあなんで戦争は無くならないんだって話。人間が愚かと言うのはとても簡単だけど、例えばいきなり怪我した他人が勝手に自分の家に来て、最初は可哀想と思って手厚く看病してあげても実際そのまま住み着かれてと困るし、かといって石を投げて追い返すことも難しい。

国や自治体は場当たり的な対応しか出来ないので、真剣に考えて取り組まないと悲惨な未来しか見えない。でも未来の話じゃなくて、喫緊の問題というのが何とも言えない。
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