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ザ・ゴーレムのくりふのレビュー・感想・評価

ザ・ゴーレム(2018年製作の映画)
3.0
【ヘイトスターター】

“シッチェス2019”上映物件をレンタル。

珍しきイスラエル映画。17世紀リトアニア、異教徒の侵略に怯えるユダヤ人村で、ゴーレム創造にのめり込む、息子を亡くしたちょち、美貌の母親物語。

クラシカルな元ネタは面白く、ヒロインに少し共感もできる。が、足腰弱い仕上がりでした。どうにも肝心な所で、安さが透けてしまいます。

ゴーレムは昔ながらの土の巨人ではなく、見た目が普通の男の子…なのにサイキックパワー持っているという、今風?の設定。キング原作のファイアスターターを思い出す。

“膿み出した”母親の心のままに動くから、彼女に敵と判断されると、大変おそろしい。そして、あらたな“息子”の力を知った母が、どんな大活躍を見せるかと思ったら…なんか、しょぼいんです。

ラスト、実際はジェノサイドが起きている筈が、そうは見えない撮影と演出。単純に予算の問題かなあ、とは思ったものの。

『ウィッチ』と同時期が舞台で、この時代の風俗、描写は興味深い。“子を産むことが、神に与えられた女の仕事”と押し付けられる重圧は、現代仕様で語られる。

そこに耐えるヒロインは、ちょちゴツイけど美人。完成度の低さには、彼女を眺めてやり過ごしました。

映像にはコクがありました。視覚的にはそこそこ満足できたのでした。

<2020.5.23記>
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