どど丼

ブラジル -消えゆく民主主義-のどど丼のレビュー・感想・評価

4.5
ブラジルのここ10数年ぐらいの政情を、監督自身の体験も交えながら追ったドキュメンタリー。去年のアカデミー賞でノミネートされてます。

独裁政権が倒れてリベラル派のルーラ大統領が民主主義の実現に奔走してから、継いだジルマ大統領下で様々な不正が暴かれ、保守派・リベラル派双方に不信が渦巻く中で国民の思想も分断されて今に至る……という構成。日本じゃとても考えられないし、国内ニュースでブラジルの政情を深く知る機会もなかなか無かったので、現状の大枠を掴む上では本当に勉強になる作品でした。ブラジル、腐敗しすぎ。個人的に感心したのは、監督がただの映画監督では無く、政治不正に手を貸した大企業の社長を祖父に持っているが故に政治家とのコネクションがある方なので、ルーラ大統領やジルマ大統領に密着した映像製作が実現できているのがとても良い。リベラル寄りの監督なのでリベラルに味方するような描き方だったことは否めず(極力中立性を保とうとはしていたけど)。ニュートラルな立場から見る必要はありますね。

「バクラウ」の理解深化も兼ねての鑑賞でしたが、あくまで政治的背景が中心の作品なので、これだけで理解するのは難しい。分断や奴隷の歴史、ボルソナーロの思想等、参考になる部分は所々に含まれているので、観ておくだけでも違うかと思います。
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