ペコリンゴ

向かいの窓のペコリンゴのレビュー・感想・評価

向かいの窓(2019年製作の映画)
3.8
記録。
「丸見えだって分からないの?」

2019年のアカデミー賞短編映画賞およびSSFFベストアクター ベストアクトレスアワード受賞作。

ヒッチコックの『裏窓』、シャイア・ラブーフ主演の『ディスタービア』など自宅から近隣住民を覗き見るプロットを持つ作品はサスペンスと相場が決まっているようなもの。

一方、この作品はそういった作品とは趣きが異なり「隣の芝生は青い」を地で行くちょっとした感動作です。

3人の子供の育児に追われ、ちょっとした口論もしばしばの妻アリーと夫ジェイコブ。窓越しに見えるお向かいの若いカップルに、かつて同じく若者であった今の自分に無いものを見るアリー。そして季節は移り変わり…。

たった20分そこらなのに起承転結が明確で確かな満足度を覚える作品ですね。

マンハッタンの夕景にシンプルなフォントのタイトルが浮かぶオープニング、四季折々の表情を見せるブルックリンの風景といったN.Y.が舞台の作品特有の洒落た感覚も良いですし、「新体位」「陰毛に白髪」などジェイコブが吐くパワーワードに口元が緩みます。

明かされる事実にアリーは自分の人生を見つめ直すのですが、そんな彼女の家庭を窓越しに映すラストカットが秀逸。暖かさと切なさが入り混じった余韻を残します。

視点を変えてみれば気づく幸せ。見つかる作品かもしれませんね。

さてそんな本作、気になる方はブリリアで配信終了間近なのでお急ぎを。字幕のクオリティを気にしなければ監督のYouTubeチャンネルでも観れます。

https://youtu.be/k1vCrsZ80M4