音暗

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3.7
これは、ドラマじゃなくて、リアル。
ドラマのように見せただけのノンフィクションと言っても過言じゃない。

劇的な展開なんてありません。
劇的な変化は、主人公やそれを取り巻く人たちに起こるだけ。
観ている人間は、見守るほかありません。
実際の事件だって、そう。疑わしい人なんて、見方次第でゴロゴロ見つかる。裁きを受けさせたくなるような人だって、いくらでもいる。けれど、何が正義で、何が楽になる方法で、何が平穏なのかは当事者でさえ検討がつかなくなるような世界。
ただ、それをリアルに描いただけの作品です。

性犯罪被害者の現実です。感情表出の仕方、症状の出現具合、ラストまで、形は違えど、悲しいけれど確実に数え切れないほど存在している、誰かの現実。

本作の両親は、非常に素晴らしい。本当に必要な対処策を理解している言動。ここは、今の現実社会ではなかなか難しい点。悔しい事に、被害者の方がマイノリティになってしまう。責められてしまう。知識と理解の普及が本当に必要だと思います。
本作から何かを得たいなら、主人公の両親から学びを得てほしい。
音暗

音暗