シズヲ

硝煙のカンサスのシズヲのレビュー・感想・評価

硝煙のカンサス(1943年製作の映画)
3.3
銀行強盗を撃退したことで保安官に任命されたガンマンが街を牛耳る権力者と対峙する。80分前後の尺なので展開が早く、銀行強盗発生→保安官任命という導入部の流れも開幕数分でそそくさと処理される。全体的にはB級西部劇やTV西部劇に近いこじんまりとした内容で、あらすじ自体はそんなに取り立てて印象に残るものでもない。主演のリチャード・ディックスはサイレントからトーキーへの変移を乗り越えて活躍した俳優らしいのが何だか興味深い。

内容自体は無難にまとまっているものの、酒場での乱闘シーンや橋の爆破シーンなどは中々に派手で楽しい。ラストにおける街での総力戦もサイレント期の映画を思わせる物量と躍動感で印象的。“撃退→入院→祝福”という冒頭とラストの反復も粋だ。豪快な巨漢のカウボーイ、飄々と立ち回りながら最後に筋を通すギャンブラーなど、周囲を取り巻く脇役もけっこう味がある。コメディリリーフ的な召使い黒人は往年の映画における典型的造形だけど、この時代にしては華を持たされてる方。
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