さすらいの旅人

Winnyのさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
4.0
【BS/WOWOWシネマ/放送録画視聴/シネスコサイズ】

これは大変面白く見応えがあった。
昔問題になったファイル共有ソフト「Winny」の法廷闘争をリアルに描いた映画だ。開発へのプロセスと利用法の詳細についてはバッサリ切っており、法廷劇に特化したのが成功の要因だろう。そして法廷闘争の準備の中で、開発者の金子勇の人間像が具体的に浮かび上がるシナリオが心憎い。また、応援弁護士たちが検察側をやり込めるためのアイデア選びの面白さも忘れられない。

私も当時Winnyをダウンロードして使った記憶があるが、違法ダウンロード事件が多発してヤバイソフトと言うイメージが強かった。しかし、映画の中である弁護士がたとえ話で「ナイフを使った殺人事件が起きた場合、もちろん罪に問われるのは殺人を犯した者であり、ナイフを作った人物ではない。」と言うセリフがこの事件の正統性をうまく表現していた。これと並行して愛知県警の裏金問題にもWinnyが登場し、タイムリーな事件として同時に描かれていた。

主演の東出昌大はプライベートで悪いイメージがあるが、役者としては才能あると私は思う。最近観た「とべない風船」でも孤独な人間をうまく演じており今後も期待したい。