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Winnyのkuuのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
3.8
『Winny』
製作年2023年。上映時間127分。
ファイル共有ソフト『Winny』の開発者である金子勇の実話を基に描くヒューマンドラマ。
あるソフトを開発して逮捕されたプログラマーと、開発者を守るために権力やメディアに立ち向かった人々を描く。
監督などを務めるのは『ぜんぶ、ボクのせい』などの松本優作。『草の響き』などの東出昌大、『大綱引の恋』などの三浦貴大ら大大コンビが出演している。

2002年、金子勇(東出昌大)は、ファイルを簡単に共有できるソフト『Winny』を開発し、2ちゃんねるに試用版を公開。
そのシステムがシェアを伸ばしていく一方、Winnyによる違法アップロードが社会問題に発展していく。
違法コピーした者たちが逮捕される中、開発者の金子も著作権法違反幇助の容疑で2004年に逮捕されたため、弁護士の壇俊光(三浦貴大)が弁護を引き受ける。

三浦貴大が百恵ちゃんの息子やと知らなんだ😲ちゅうことは、当然ながら、父ちゃんは三浦友和兄ちゃんははシンガーソングライター・俳優の三浦祐太朗。
義姉は牧野由依、従弟は俳優・タレントの絲木建太かぁ。 
って、話がそれて始めますが、
正直、個人的には、この事件について余り知らしなかった。
違法アップロード者がパクられた(摘発された)んは目や耳にはしていたけど。。。
その後、開発者金子勇(この人も当然知りませんでした)まで逮捕されたことは知らなかった。
しかし、タマタマTERASAにあってあらすじ読んでみ、日本で実際に起きたネット関連の事件ちゅう新しい価値観が犯罪ととないに関係して、どないに裁かれるんか興味を持ち再生ボタンを押してみた。
技術開発と社会性ってかなり難しく繊細な部分を追っていたし善かったんやけど、どうもお話が説明的で淡白になってしまってんのは否めない。
それでは映画自体が説明的が前に出てもて、当たり障りのないものになってしまってた。
今作品は登場人物の魅力で引っ張っていく感じかな。
今作品は、実際にあった事件のリアリティさと映画的フィクションのバランスが良かったかな。
主役の金子勇役の東出昌大の私生活は、人となりは小生は云えた義理はないし置いとき、演技などしたことないズブの素人やし書くのは烏滸がましいですが、いい役者さんだと思う。
役作りのために18kgも太ったと知って(キャストを知らずにみてたら気がつかないかも)尚更、役者としての心意気に応援したくなった。
今作品は、2000年代 "ネットオタク "の生き様をこれでもかと描けてんのは監督の腕やと思うけど、東出昌大の演技は、その風貌だけで、金子勇って人の自己を表現できてたんちゃうかな。
人間の純粋さと狂気が滲み出ていて、それでいてとても魅力的やった。
天才と狂気の体現者の金子を信じ、弁護を引き受ける弁護士・壇俊光。
彼を演じた三浦貴大も、近年よく見る他の俳優さんとは一味違う良さがあった。
今作品で、観てる側に一番近い感覚は彼かな。
天才の天才たる理を見抜きつつも、常識的な線から物事を見るという実存的な役柄を演じている。
両親が三浦友和と山口百恵という非常に特殊な環境で育ったにもかかわらず、彼がこの普通の感覚を持っていることに驚かされた。
彼の両親は普通の感覚を持てるような家庭環境を保っていたに違いない。
この2人俳優に加えて、吹越満演じる秋田真志という敏腕弁護士が登場する。
映画の終盤、秋田弁護士が警察へ尋問するシーンがあるんやけど、ここでそれまで偉そうちゅう雰囲気しか醸し出していなかったが、実際の凄さが明らかになる。
そして、『やるやん』って雄々しさが生まれる。
渡辺いっけい演じるポリは、この役作りのために憎々しげに描かれたのではないかと思ってしまうほどでした。
今作品の登場人物は、それぞれ存在感と個性が強い。
そして、その描き込まれたキャラたちがリアルな法廷劇を演じている。
せやし、実際の裁判をリアルに描きつつ、エンタメとしても楽しめ、巧みなバランスになっていると思う。
まあ、もう少し警察サイドの描写も見たかったってのは贅沢かな。
原作が金子の弁護士である檀の視点で書かれているし、彼の視点が多くなるのは当然やし、インターネット黎明期の混沌とした時代の話やし、どちらが正義という話でもない。
あと、Winny事件とは一見関係なさそうな吉岡秀隆演じる愛媛県警巡査部長 仙波敏郎の話がある。
この話がWinny事件とどう関係しているかが、この映画をエンターテイメント的に面白くしている。
この話と相まって、警察が何故金子を逮捕したんか?って理由は、
検察・ポリはアホでクソ。
ちゅう風にしか見えないような描きかたは否めない。
(ポリはまだしも、転勤ばかりの検察官が下手くそな関西弁を話すか?かなり耳障りで、これが意図的なら演出家やるやん)
作中、三浦貴大演じる弁護士の壇俊光が述べる
“ナイフを作った人”を罪に問えるか?
それが道理。
そうやけど、まあ、もちろんこの部分は明確ではない。
また、
バカが牛耳ると本当に優秀な技術がなくなっていく
って、ネットでひろゆきが述べてたのが頭によぎった。
警察側にもそれなりの理由があれば、新しい価値観を提示することの難しさ、大変さ、そしてその重要性がもっと浮き彫りになったのではないやろか。
もっとも、20年前の日本でも実際にそういうことがあったことは知っておくべきやろうけど。
とは云え、20年前の日本で実際に起こったことであり、現在のネットリテラシーやニュースの報道のあり方にも通じることだと思う。
個人的には興味深く観て楽しめました。
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