第二次大戦中のスロバキア親独政権下、ユダヤ人青年マルティンの目を通してユダヤ人の悲劇を丁寧に描いた作品。
ホロコーストの現場の描写はないが、移送されていく様子や離ればなれにされる家族達の様子が良く分かる。
個人的にはユダヤ人家族の生活ぶりやシナゴーグでの儀式のシーンなどはとても好き。
最後の何分か、声も出ないというか、何も言えなかった。
集団心理というのは恐ろしいものだし、人間の信念をも簡単にねじ曲げてしまう。
人間の心理については様々な実験があるが、こういう状況の中では自分も段々と感覚が麻痺して狂気にかられていくのか、だとしたら人間性とは何かと考えてしまう、そんな作品でした。