頭の上の赤い林檎

シー・ユー・イエスタデイの頭の上の赤い林檎のレビュー・感想・評価

シー・ユー・イエスタデイ(2019年製作の映画)
2.5
 俺はタイムトラベルするなら…そうだなあ…どこに戻ればいいかわからない程に戻りたい時と場所がある。笑

 俺個人の時間に関してのロジカルを言うならば、過去に起こったすべてが今につながる。言わば一つ一つの独立した時間ではなく、現在から過去至る全ての時と事象が合わさってそれ一つの総体なのだと思う。
 どこかをいじればそのまま変わるドラえもんやバックトゥザフーチャー的な概念ではなく、時間の流れは現在から過去に流れているというイスラム的な時間観念や、村上春樹的ロジカルに俺は賛成だ。

 今作は科学を好む高校生2人がそんな時間の概念に挑む作品。
 タイムスリップには見事成功させるのだが、今作の概念的準拠はほぼバックトゥザフーチャーと同じ。

 当初は大学進学のための研究としてタイムスリップしていた2人が、うっかり過去のとある事象に干渉したところから暗転。大切な人を失ってしまい…と言う展開。

 今となってはタイムスリップものとしてはありがちな展開。だが、主人公が科学に秀でているのを活かし、タイムマシーンの構造と理論をかなり事細かに実践的にわかりやすく説明しているのがなかなか新鮮で良かった。果たしてそれがそれほど現実的なのかわわからないが笑
 ただそこは重要ではなくて、いかにそれっぽく見せれるかが重要。そう言う意味で今作は非常に良かった。

 ただ、大問題のラスト…

 結局誰かしらの犠牲が生まれてしまうのを悟り始める主人公。あと10分しかないのにこれどう収めるんだと思っていたらまさかの俺たちの戦いはこれからだパターン…それはないだろう…

 これがうまく好転することや、美味くいかない未来を示唆して締めくくるならいいが、それもなしでいきなり幕引きはさすがに消化不良だし失敗と断言していいと思う。

 兄貴を救ったと思ったら相棒が死ぬというショッキングな展開になかなか衝撃を受け、面白いなと見進めていただけにラストにがっかりである。

 でもまあ、主人公が犠牲になってバットエンドかと思いきや、未来から来た相棒に救われてハッピーエンドかなと思っていたのでその安易なラストよりはましなのかな。いや、寧ろそっちの方が良かったまであるかも…う〜ん。ラストさえちがければ面白かったんだけどなあ。