中学2年生の少女の個人的体験が90年代の韓国の社会問題に接続されて見事としか言えない。誰にでも起こりうる日常の景色は社会的背景なしには語れないものなのだな。
最近は韓国ドラマもジェンダーイクォーリティを意識したものが多く観ていてとても小気味良い。本作も男性社会、家父長制への静かで力強いカウンター。人物たちの心の機微が丁寧に描かれて、決してステレオタイプに配置されることなく、それぞれの多面性が台詞に依らず描かれていた。すごい。
経済成長を勢い付けて押し進める1994年。まるでその意味を問い直すかのように起きた重大事件をクライマックスに。以降、涙が抑えられなかった。
私的には10代の子たちとどう向き合うか考えさせられたし、これまでの悩みがすっと晴れて勇気をもらえた。
この監督の次回作が待ち遠しい。